ある夜の小さな集会で(番外編)

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シマ:
元は同居猫現在独り立ち、二本足の言語を解する

野良:
独り立ちの犬、以前集会に参加した


シマ「(テクテクテクテク)」

姐さん猫「おやシマじゃないか、こんな時間に散歩かい?」

シマ「あ、お姐さんお早うございます。野良さんのお話を聞きに行こうと思って」

姐さん猫「ああ、そりゃあいいね、行っておいで。あたしからもよろしくと伝えておくれね」

シマ「はい、お伝えします」

・・・

シマ「(テクテクテクテク)」

三毛「あらシマさん、お散歩ですか?」

シマ「お早うございます、三毛さん」

三毛「今日は暖かいので二本足が窓を開けてくれていてよかったですわ」

シマ「お話できて嬉しいです」

三毛「で、どこかにご用事でも?」

シマ「犬の野良さんの所に行こうかと…あ、三毛さんは先日の集会は欠席でしたっけ」

三毛「ええ、どうしても出られなくて。でもなぜ犬の方が?」

シマ「とっても穏やかでいい犬さんで、やはり二本足にセンターに連れて行かれそうになったりした苦労人なんですよ」

三毛「まあ、お気の毒に。では独り立ちなさっていらっしゃるんですね、このご時世に大変でしょうに」

シマ「ちょっと気になる二本足がいるので、今半同居だそうです」

三毛「犬の方たちは、二本足にひどい目に合わされても、それでも二本足に愛情をかけるのですね。見習わなくてはいけませんねえ」

シマ「僕はちょっと無理かも」

三毛「シマさんもひどい目にお会いになったのですものね、無理はありませんわ。でもその犬さんには何時かお目にかかりたいです」

シマ「また集会に来たいと言ってましたから、何時かは会えると思います」

三毛「はい、お引止めしてごめんなさい、お気をつけて行っていらっしゃい」

シマ「行ってきます」

・・・

シマ「(テクテクテクテク)」

黒「おい、シマのじゃないか」

シマ「あ、黒さん丁度いいところで」

黒「何だい何か情報でも欲しいのかい?」

シマ「この前の集会に来た犬の野良さん、今どこにいるか解ります?」

黒「ああ、気になる二本足がいるって言ってたなあ。多分そりゃああの、二本足たちの家の群れの先の、ちょっと離れたところにある小さな住処だろう」

シマ「ここをまっすぐでいいんですか?」

黒「ああ、まっすぐ行って最初の角を右だ。古い住処だから、何気目立つぜ」

シマ「ありがとうございます、行ってみます」

黒「犬の旦那によろしくな」

・・・

シマ「(テクテクテクテク)・・・この辺だろうか」

野良「あ、やっぱりシマさんだった。匂いがしたので」

シマ「野良さんお早うございます」

野良「来てくれたんですね」

シマ「お話ししたかったし、ついお邪魔しに。構いませんか?」

野良「大丈夫ですよ、これから朝ごはんなんですが」

シマ「じゃあ出なおしてきましょうか」

野良「いやいてください、多分うちの二本足が喜ぶと思うので」

二本足の声「野良ちゃん、朝ごはんですよ」

シマ「朝ごはん出来たようですね」

野良「そう言えばシマさんは二本足の言葉が解るんでしたっけ」

シマ「それほど難しい言葉でなければ、殆ど解ります。これのおかげでセンターに行かずに逃げられたんですから」

野良「じゃあ出来たら、ここの二本足の言葉の通訳お願い出来ますか」

シマ「いいですよ勿論」

二本足「野良ちゃんここにいたのね、あらお友達なの? 猫さんのお友達がいたのね、猫さんも朝ごはん食べるかしら」

シマ「僕にも朝ごはん振る舞ってくれるようですね」

野良「食べて行ってください、多分二本足が喜ぶと思うので」

シマ「そうなんですか」

野良「結構寂しがり屋の二本足で、決して若くはないから私たちがいると嬉しいみたいなんです」

二本足「猫ちゃんの専用のご飯は無いけど、味の無い煮干しはどうかしら?」

シマ「(フンフンフン)美味しそうだけど」

野良「どうしました?」

シマ「僕は二本足を基本的に信用してないんで、食べても大丈夫かなって考えちゃうんです」

野良「大丈夫ですよ、もし何かあったら私を恨んで噛みついてください」

シマ「本当に・・・困っちゃうなあ、野良さんのこのお人よしは」

野良「はい、何か?」

シマ「いえ何でもないです、いただきます」

二本足「まあ嬉しい事、野良ちゃんだけでなく猫ちゃんまで来てくれるなんて。美味しいかしら、お口に合うかしら」

シマ「僕の口に合うかって、聞いてくれてます」

二本足「野良ちゃんもねえ、最初から文句言わずに食べてくれるけど、他のご飯の方がいいのかしら」

シマ「野良さんのご飯、それで満足かって聞いてます」

野良「勝手に押しかけてご飯まで貰ってるんですよ、文句なんか無いですとも。しかも美味しいご飯だし」

シマ「あらら野良さん、しっかり二本足に貼りついたなあ。感謝の気持ち、伝えてるんだろうか」

二本足「まあ野良ちゃんたら、今日は甘えんぼさんなのね」

シマ「うーーん、何と言うかこの二本足は本物のいい人のようだなあ」

野良「シマさん、もしよろしければちょっとだけ、二本足に撫でさせてやってくれませんか」

シマ「(正直ちょっとアレだけど、まあ野良さんの紹介だし朝ご飯代と言う事で)はい、いいですよ」

二本足「あら猫ちゃんも来てくれたのね、撫でてもいいかしら」

シマ「どぞどぞ・・・って言っても伝わらないかな」

野良「伝わってますよ」

野良「今日は来てくれてありがとう、二本足も嬉しそうだった」

シマ「でも正式に同居はしないんでしょう?」

野良「出来ればしたいかな、って思ってます近頃」

シマ「でも正直、あの二本足は生活に余裕があるように見えなかったんですよ。そういう二本足って、簡単に僕らを捨てるじゃないですか」

野良「それは否定しませんし、私も病気とかになった時に負担をかけるのは出来れば避けたいんです」

シマ「じゃあ」

野良「だからもし、病気になったり身体が不自由になったりしたら、その時は黙っていなくなろうと思ってます」

シマ「そんな・・・・」

野良「昔の私たちの先祖は、死ぬ時には二本足に別れを告げて出て行って、誰も知らないところで死んだと言います。私もそれが出来るように頑張ろうと思うんです」

シマ「何でそこまで・・・・っ」

野良「あの二本足の目を見ましたか、本当に寂しそうで。でも私たちを見る時は、嬉しそうで。それが全てなんです」

シマ「僕が今日行ったことで、あの二本足は喜んだみたいですね」

野良「ええ、凄く楽しそうでしたね」

シマ「まだ気持ちの整理はつきませんけど、僕もあの二本足と付き合えるかもしれないと、今思いました」

野良「本当に? だったら嬉しいです」

シマ「また連絡します、その時までに考えておきますね」

野良「じゃあこの辺で、気を付けて帰ってください」

シマ「あ、次の集会は今日の次の夜です、場所は同じですから来られるようなら来てください」

野良「ありがとうございます、お邪魔しますと長老様にお伝えください」

シマ「(テクテクテクテク)野良さんのようにまではまだ、二本足を信用できないけど。でもあの二本足ならひょっとして・・・ちょっとだけ、考えてみようかなあ」

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