幼馴染の好きな人は、俺じゃない人

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渡辺翔太:
幼馴染の光里が好き

松本光里:
翔太の幼馴染。内気

高木優斗:
翔太の友人。サッカー部

安藤麻衣:
光里の親友


光里「私、高木くんが好きかも」

学校帰りの自宅。いつものように幼馴染の光里と二人でゲームしている最中の突然の爆弾発言だった。

翔太「高木って、優斗のこと?」

光里「うん」

翔太「何で? お前と接点あったっけ?」

光里「この前、たまたま声かけられて。私でもしゃべりやすくて、優しい人だなって」

光里はとても内気で、翔太や特定の友人以外とは中々話せないのだった。

翔太「そっか。まさかお前が優斗に惚れるとはな」

光里「…変?」

翔太「いや、別に。まあ、覚悟しとけよ。優斗はモテるから」

光里「…うん」

翔太「まあ、幼なじみのよしみとして、橋渡しくらいはしてやるよ」

光里「…ありがとう」

俯く光里の頭を翔太は軽く撫でる。

翔太にとって光里は、大切な幼馴染であり手間のかかる妹のような存在であり、そして好きな人だった。

翔太「(光里が好きになったなら仕方ない…)」

自分の気持ちを押し隠し、翔太は光里の恋を応援する事に決めたのだった。

・・・

優斗「松本さん? 知ってるよ」

次の日、翔太はさっそく優斗と光里の橋渡し役をする事にした。

優斗「松本さんに何かあったの?」

翔太「いや、俺が光里と幼馴染なの知ってるだろ? 一人じゃ危ないからっていつも一緒に帰ってたんだけど、今日は用事があって帰れそうになくて。お前に光里を送ってもらえないかなって」

優斗「…今日は部活が休みだから俺はいいけど、松本さんは大丈夫なのか?」

翔太「大丈夫。既に光里にお前の事を話して許可とってるし」

優斗「そうなのか? ならいいけど」

翔太「頼むな」

翔太は優斗に軽く頭を下げる。その顔は、どこか切なげだった。

・・・

光里「…今日は一緒に帰れないの?」

翔太「悪い、今日は用事があって。その代わり、優斗に代役を頼んだから」

光里「…そう」

翔太「それじゃ、そういう事だから!」

翔太はそのまま光里の教室を出た。光里の顔を見る事は出来なかった。

もし嬉しそうにしていたら、心が耐えられそうになかったからだ。

その日の放課後、翔太は学校の教室にいた。

麻衣「あれ、用事があるんじゃなかったの?」

そこに現れたのは、光里の親友で翔太の友人でもある麻衣だった。

翔太「…わかってるくせに」

翔太は苦笑いで返した。

麻衣「高木と光里をくっつけようとしてるんでしょ?」

翔太「…まあな。光里が優斗を好きだって言ったから」

麻衣「でも、本当にそれでいいの?」

翔太「…え?」

麻衣「好きなんでしょ、光里の事」

翔太「バレてたか」

麻衣「好きじゃなきゃ、あんなに面倒見ないでしょ」

翔太「…好きだよ。小さい頃から、光里の面倒を見るのは俺の役目だってずっと思ってた。でも、光里は昔と違う。彼女は、自分の足で立って、そして俺じゃなく優斗を選んだ」

麻衣「…本当かな?」

翔太「…え?」

翔太は、麻衣の予想だにしない言葉に驚く。

麻衣「本当に高木を選んだのかな?」

翔太「俺に、優斗を好きかもって言ってたぞ」

麻衣「好きかもでしょ? まだ好きとは断言してない」

翔太「似たようなもんだろ。そもそも、光里が誰かに好意を持ったという事を俺に言ったのは初めてだし」

麻衣「まだ、気になってるだけで、好きまでは言ってないかもしれないよ?」

翔太「…」

麻衣「今なら、光里を取り戻せるかもしれないよ?」

翔太「…もういいんだ。俺は、光里と優斗を応援するって決めたんだ」

麻衣「…後悔しない?」

翔太「…ああ」

しかし、翔太は麻衣の言葉に揺れていた。

それから、翔太は何かと理由をつけては光里と優斗を一緒に帰らせようとした。

用事があると告げた時の光里の顔はどこか不満気に見えたが、それは自分の願望でそう見えるだけと思うようにした。

そしてある日、翔太は優斗に呼び出された。

翔太「どうしたんだよ、急に呼び出して」

優斗「いや、光里ちゃんの事だけど」

光里を苗字じゃなく名前で呼ぶ事に翔太は傷ついたが、顔には出さなかった。

翔太「光里がどうかしたか?」

優斗「いや、俺の勘違いなら悪いけどさ、お前、俺と光里ちゃんをくっつけようとしてるよな?」

翔太はドキリとした。

翔太「な、何でそんな事思うんだよ」

優斗「だってお前、俺に用事があるといいながら、何をするでもなく学校に遅くまで残ってるの友達が見てたし」

翔太「…そっか」

毎日にように学校に遅くまで残ってたら変に見られるよな、と翔太は納得した。

翔太「…そうだよ。実は、光里はお前が好きみたいで、それでさ」

優斗「…う~ん。光里ちゃんはいい子だと思うけど、恋の対象としては見れないかな」

翔太「そっか」

優斗の言葉に、最低だと思いながらもどこか喜ぶ自分がいる事に翔太は気づいた。

優斗「それに、光里ちゃんが俺を好きなようには見えなかったけどな」

優斗が首をかしげる

翔太「何でそう思う?」

優斗「だって、一緒に帰ってる時、彼女から出る話題はお前の事ばっかりだし。しかも嬉しそうに話してる」

翔太「それは、共通の話題が俺だっただけじゃ」

優斗「そんな事ないよ? 俺もゲーム好きでその話題を出してもすぐにお前の話になる」

翔太「…」

優斗「…俺の予想で悪いんだけどさ、もしかしたら光里ちゃんは…」

優斗の言葉を聞いた翔太は、すぐさま光里の元へ走り出した。

・・・

光里「…どうしたの? もうチャイムが鳴っちゃったよ」

あの後、すぐさま教室にいる光里を屋上に連れ出した翔太。

光里「話なら放課後でもいい?」

そう言って戻ろうとする光里を、翔太は引き留めた。

光里「翔太くん?」

翔太「あ、あのさ!」

心臓がバクバクいっている。こんな経験は、翔太は初めてだった。

光里「?」

翔太「き、今日! 一緒に帰らないか?」

光里「…うん!」

その笑顔は本当に嬉しそうで。

翔太「も、もう一個話があるんだけど!」

光里「なに?」

翔太の心臓の音は止まらない。でも、もう止まれない。

翔太「お、おれ! お前の事が、す、好きだ!」

光里「……!」

驚く光里を抱きしめる翔太。

「…私も好き」という光里の小さな呟きを聞きながら、翔太は優斗の言葉を思い出していた。

–光里ちゃんって、お前に告白してほしくて他に好きな人がいるとか言ったんじゃね?–

涙を流す光里を抱きしめながら、翔太は優斗に感謝するのだった。

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