魔王、居城を求めて新しい城探し体験

魔王:
数百年振りかに復活した魔王。しかし、すでに前の居城は無く側近と共に新しい城探しをする。

側近:
魔王の復活を待っていた側近の魔物。魔王と共に新しい城探しへ

業者:
魔王と側近が訪れた不動産屋の魔物。


時の勇者によって打ち倒された魔王…しかし、それから数百年の時を経て、多くの魔物が見守る中ついに魔王は復活してしまう!

魔王「皆の者! …ついに…ついに我は復活したぞ!」

魔王の復活は多くの魔物達の希望であり、悲願でもあったのである。

側近「魔王様! 我ら一同、復活を心よりお待ちしておりました!」

魔王「うむ、そちらもよく今日まで生き延びていたな…さぁ、我が復活した以上は再び人間共を恐怖のどん底へ突き落としてくれる!」

多くの魔物達「魔王様万ザアアアアアアイ!」

・・・

そして人間界に再び魔王と側近は降り立つのだが…

魔王「おい、我の城はどこだ?」

勇者に打ち倒される魔王の城、魔王はまずかつての居城に戻ろうとした。

側近「申し上げにくいのですが、魔王様のお城はすでに人間界にはありません。」

魔王「は?」

側近「魔王様がいない間に居城はすでに人間達に打ち壊されて跡形も無いんです。」

魔王「で、では我の帰る場所は今無いのか?」

側近「左様でございます。」

魔王は今自分がホームレスとなっているのにようやく気付いたのである。

側近「そのため、人間界の侵攻にはまず人間界で魔王様の城を探さねばなりません。」

魔王「探すって…アテはあるのか?」

側近「はい。私の知り合いにその手の城を探せる「不動産業」の者がおりますのでその者に連絡を取ります。」

魔王「う、うむ…任せた(魔王の城って不動産扱いなのか?)。」

しばらくすると側近の下へ一人の魔物が現れる。

業者「お初にお目にかかります、魔王様。私、魔界と人間界で広く不動産を取り扱っている者です。本日はよろしくお願いします。」

魔王「うむ…早速だが、我は居城を探しているのだ。どこか良い城はあるか?」

業者「はい! 魔王様にピッタリな居城を必ずお探ししてみせます!」

にこやかな笑顔で魔王の城を探すと言う業者の魔物、魔王は内心複雑であったが今はこの者しかアテが無いので我慢する事にしていた。

業者「つきましては魔王様、ご予算はどれぐらいで?」

魔王「え? 予算?」

業者「はい、不動産を手に入れるには最低でも不動産価格の2割が頭金として必要でございます。」

魔王「待て! そんな復活したばかりで我は金とか…」

側近「ご安心を、この時のためにしっかりと魔王様の部下と共にお金を貯めておりました。」

魔王「おお! そうであったか。では予算は側近と相談してくれぬか?」

業者「かしこまりました。では側近殿、ご予算はどれぐらいで?」

側近は何やら紙切れのような物を見せる。すると業者は少し険しい表情をした。

業者「はぁ…300金? これが限界ですか?」

側近「申し訳ないが、当面の生活費として2~3か月分の生活費を差し引くとこうなります。」

業者「これでは新居は無理ですなぁ…最近人間界の不動産価値も高い物で…」

側近「では中古物件とかになりますか…」

魔王「(今、中古物件って言わなかったか…? 魔王の城が中古物件であるのか?)」

業者「そうなります、ですがご安心ください。必ず良い物件をご紹介いたしますので!」

側近「魔王様、話はまとまりました。早速居城となる城を探しにいきましょう。」

魔王「あ、ああ…(けど側近とかが今までお金貯めて待っててくれたから文句言いづらいな…)」

最初に訪れた物件は辺鄙な場所の築200年のお城であった。

業者「いかがでしょう? こちらは200年前にある悪魔が建てた物ですが、作りはしっかりとしておりますよ!」

魔王「うーむ…(悪くないけど何だかあちこち痛んでるなぁ…)。これは修繕とかはしてくれるのか?」

業者「いえいえ、修繕費は別費用となります。この城全体であれば500金は別途でかかるでしょうなぁ~それに水周りも修理が必要になってきそうですなぁ~」

魔王「むむむ…建物を手に入れてもそんなに金がかかるのか?」

業者「ええ、不動産は購入した後は魔王様のものですが、あくまで改装等をお考えでしたら別に費用が必要です。」

側近「魔王様、申し訳ございませんが500金をこの時勢で用意するのは難しゅうございます…」

魔王「それにこの城は人間の町から遠すぎるから侵攻も足が遅れそうだのう…」

業者「おや、お気に召しませんでしたか? では次の物件に参りましょう。」

2つ目の物件は築150年の要塞であった。

魔王「おお、要塞か。攻められた時は大丈夫そうだのう…」

側近「内装もそこまで痛んでおりませんのですぐに使えそうですね。」

業者「いかがでしょう? ここはかつて武勇優れた魔物が住んでいた場所です。」

魔王「うーむ、ここなら…ん? 何だ変な臭いがして来ないか?」

外を見てみると何と近くの洞窟からおかしな臭いが噴出していた。

魔王「何だあの洞窟は?」

業者「ああ、あの洞窟はそこに住んでいる魔物の習性で、臭いを撒いて敵が来ないようにしているのです。」

魔王「た、確かにこの悪臭なら敵は来ぬが…風下のこっち側にまで流れ込んでるではないか…」

業者「はい。特に今の時期はよくあの洞窟に冒険者が来るので、一日に3回、多いときは夜中まであの臭いを撒き散らします。」

側近「それでは魔王様のお召し物を洗濯する事が出きぬではないか…」

魔王「それにこの臭いが四六時中は我でも気がおかしくなりそうだ!」

業者「うーむ、それでは次の物件に参りましょうか?」

3つ目の物件は築111年のお城であった。

魔王「ほう、ここはそれなりに大きい城じゃのう。」

業者「はい! この城はかつて悪魔の大物が住んでいた城でございます! 惜しくも何年か前に勇者によって討ち取られましたが、お城はこの通り健在でございます!」

側近「魔王様、この城少し傷んでますが、最初の物件よりも損傷は少なめです。」

魔王「そうか(改装費も抑えられそうだのう)。む? 罠などもまだ生きておるのか?」

側近「はい、少し手直しすればまた使えるかと思われます。」

業者「いかがでございましょうか? 私としてもイチオシ物件でございますが…」

魔王「(色々条件も良いし…罠も付いてくるし…)よし、この城を購入する事にしよう!」

業者「ありがとうございます! それでは早速ご契約を…」

こうして新たな居城を手に入れた魔王だったが3日後…魔王が復活したと聞いていた勇者一行がこちらに来ているという知らせが入る。

魔王「え!? もう勇者一行が来るのか!」

側近「そんな! まだ改装も罠の再設置も終わってませぬぞ!」

そして勇者一行が魔王城の前に到着し、城の門を見てみると…

「ただいま改装工事中」

しかし、勇者達にそんな言葉が通用するはずが無く、あえなく魔王はまた倒されてしまうのであった。そして、その知らせがあの業者の元にも入る。

業者「魔王が倒されたか…まぁいいや。お金は一応手に入ったし、あの城は魔王が住んでいたって事で価値が上がる。」

業者は魔王が倒されたという知らせに動じる所か、笑みを浮かべていた。

業者「あの城に前いた悪魔の大物は訪れた勇者に瞬殺されてしまい、あの不動産の価値が下がっていたんだがこれからは魔王が住んでいた事が売りになる。」

業者「まず、確実に買わせるために駄目な物件を見せていき、売りたい物件を最後に見せれば相対的によく見えるが上手く引っかかってくれたな。」

業者「しかし、魔王というのも最近は金を持っておらんなぁ…これからは上級のボスモンスターや魔物にターゲットを絞ろうか?」

業者は今日も他の魔物との商談に向かう。もちろん、あの魔王が住んでいた城を売りつけるために…