【BL】大上くんと宇佐木くん

大上(おおかみ)くん:
19歳の男性。フリーター。小さい喫茶店でバイトをしている。
目が悪くて眼鏡がないと至近距離でも顔がぼやける程、視力が悪い。
おっとりしていてちょっと変わってる。宇佐木くんの事は自分より背がでかくてイカツイけど可愛いと思っている。

宇佐木(うさぎ)くん:
17歳の男子高校生。野球部だけど肩の調子が良くなくなって以来落ち込んで学校を時々サボって大上君の喫茶店に通っている。
大上くんに一目惚れしたけど自分はイカツイ見た目なので怖がられていると思っている。


—- 大上くん視点 —-

僕「いらっしゃいませー、あ、宇佐木くんだ。こんにちは」

宇佐木くん「…っす」ぺこっ

僕「今日もガッコサボったの? あんまサボってばかりだと卒業できないよ?」

宇佐木くん「大丈夫、っす。あの、ちゃんと日数足りてるんで…」

僕「確信犯だな。悪い奴め。うりうり」頭なでなで

宇佐木くん「!!!!」

宇佐木くん「あ、あの、えっと」

僕「ん、いつものでいいかな?」

宇佐木くん「は、はい…」

僕(宇佐木くんは僕のバイトしている喫茶店の近くにある高校の生徒だ)

僕(僕が170cmだから、それより大きい宇佐木くんは“うさぎ”の名前に反してとってもでかい。多分180はあるだろう)

僕(宇佐木くんが学校をさぼって時々ここに来るようになったのは、何やら体の不調が理由らしい)

僕(野球を真剣にやっていてエースでもあった宇佐木くんはある時から肩の不調に悩むようになったんだって)

僕(それで段々と部活にも学校にも行きにくくなって、そして適当に歩いていた時にこの店を見つけたらしい)

僕(初めてここに来た時の宇佐木くんの顔はそりゃもう酷いものだった、元からイカツイ顔をしているけど、それがとっても凶悪だったんだ)

僕(何度か会った今なら、あの時の顔は自暴自棄だったせいだろうと解る)

僕(出会って1ヶ月しか経ってないけど、あの日以来、ちょっとは顔つきも穏やかなようでホッとしている)

僕(でも、ずっとこのままでは宇佐木くんにとっても良くないとは思うんだけどね。僕には見守るしかできない)

僕「…はい、どうぞ。ココアだよ。あとこれ、マスターが焼いたクッキー。新作だよ、良かったらどうぞ」

宇佐木くん「あざっす…」

僕(両手であったかいカップを持つ宇佐木くん。うん、可愛い)

僕(マスターも他のお客さんも僕は趣味が悪いって言うけど、宇佐木くんの凶悪顔は僕にとったら最高に可愛い)

僕「美味しい?」

宇佐木くん「美味い、です」ばくばく

僕「マスター、宇佐木くん美味しいって」

僕(バーカウンターの向こうにいたマスターに報告すると、ニコニコしている。マスターも宇佐木くんと会う度に意外といい子だって気に入ってきたんだ)

僕(いい子だからこそ、このまま諦めてほしくないなぁと思うけど)

宇佐木くん「じゃあ、えっと、お会計、いいっすか。そろそろ帰ります」

僕「ああ、うん。ありがとうございました。またね」

僕(もう帰っちゃうのか、もっと話たかったな。寂しいな)

・・・

—- 宇佐木くん視点 —-

俺「はあ…」

俺(大上さん、今日も可愛かったな)

俺「男に可愛いとか、何言ってんだろ」

俺(大上さんと出会ったのは今から1ヶ月位前の事だ。肩の調子が良くなくて、上手く投球できない事にイライラして学校も部活もサボって歩いていた)

俺(そんな時に店の前で掃除している大上さんに出会ったんだ。大上さんは俺の顔を見てすごく驚いていたけど無理もない)

俺(昔から怒ってなくても怒ってるって聞かれる位の人相だし、やばい奴だと思われたんだろう)

俺(実際にそうやって誤解したまま俺の事を悪く言う奴は多かったけど、大上さんは違った。にっこり笑って「良かったら入る?」って店のドアを開けてくれた)

俺(その時から肩の事とか部活の事で悩んだら足が勝手にこっちへ来るようになった。それで段々と大上さんの事を…)

俺「でも、やっぱ駄目だろうな。大上さんに俺なんて奴が釣り合う訳ないし」はぁ…

俺(明日は学校行くか…出席日数やばいし)

翌日

クラスメイト「宇佐木くん来てるよ、珍しい」ひそひそ

クラスメイト「ほんとだ、やべ、聞こえてるよ。すっげー睨まれてる」

俺(睨んでねーよ! 普通の顔だわ!)イライラ

俺(イライラしてきたな、やっぱサボって大上さんの店に行けばよかったかも)

部活の仲間「宇佐木! 久しぶりじゃん、お前今日は部活こいよ、コーチに怒られるぞ」

俺「判ってるよ…」スタスタスタ

部活の仲間「あ、おい! 宇佐木!」

俺「やっぱり大上さんのとこいって癒されよう」カランカラン

大上くん「いらっしゃいませー。宇佐木くんだ。今日もココアでいい?」ニコニコ

俺「っす…。お願いします…」

俺(あー癒されるな、この笑顔)

俺(それにしても部活、どうしよう。行かなきゃいけないよな)はぁ

大上くん「何ため息ついてるの?」顎ぐいっ

俺「!! あ、あのっ」カーッ

大上くん「ほら、ホイップクリームたっぷりココアだよ。今日は元気なさそうだから気持ち多めだよ」

俺「あ、ありがとう、ございます…」

俺(びっくりした、いきなり顎クイとか…)

大上「金平糖も入ってるよ。美味しい?」

俺「おいしい、です…」

俺(はぁ、やっぱり癒されるなぁ)

俺「あの、ありがとうございました、ココア。その、そろそろ帰るので、お会計…」

大上くん「あ、ちょっと待った。僕ももう上がるから、一緒に帰ろう」

俺「!! え、あの、あ、はい!!!」

大上くん「おお、元気だね、ちょっと待っててね」

俺(大上さんと一緒に帰る…! で、デート!?)

大上くん「お待たせ~、さ、行こう」ぐいぐい

俺「あ、手、あの、」

大上くん「マスター、お疲れさまでーす。また明日ですー」

マスター「はーいお疲れさま、宇佐木くん、がんばってね」にこにこ

俺「!?」

・・・

—- 大上くん視点 —-

スタスタ

…スタスタ

宇佐木くん「あ、あの、どこ行くんすか?」

僕「うーん、とっておきのとこ」

僕(今日も宇佐木くんがお店に来てくれたけど、また初めて会った時のような、泣きそうな顔をしていた。だから無理やり連れてきちゃったんだけど)

僕(気に入ってくれるかなぁ?)

僕「ほら、ついたよ、ここだよ」

宇佐木くん「ここって…」

僕「僕の亡くなったお爺さんの住んでた家。もう何十年も空き家だけど、時々来てるんだ。いい感じでしょ? この庭の景色」

宇佐木くん「はい、すごいっす…」

僕(よかった、気に入ってくれたみたいだ)

僕「縁側に座ろう、ほら、こっちおいでよ」ぽんぽん

宇佐木くん「はいっす、」

僕「僕、悩んだらここに来て色々考えるんだ」

僕「上手くいく事ばっかじゃないし、自分1人で解決しなきゃいけない事って沢山あるよね」

僕「今は上手くいかないかもしれないけど、一生懸命もがいてたら案外うまくいく事ってあるよ」

僕(なんて、偉そうに言ってるけど、宇佐木くん怒ってないかな)チラッ

宇佐木くん「うっ、うっ」ズルズル

僕「ど、どうしたの宇佐木くん」おろおろ

宇佐木くん「俺、誰にも肩が悪い事言えなくて、このまま野球できなくなったらどうしようって」ズルズル

宇佐木くん「でも、病院行って検査するのも恐くて、コーチにも部活のメンバーにも言えないし、どうしようって悩んでて」ズルズル

僕「宇佐木くん…」ギュッ

宇佐木くん「お、おおかみさん…!?」ドキドキ

・・・

—- 宇佐木くん視点 —-

俺(び、びっくりした、大上さんが俺の事抱きしめてる…!)

大上くん「ごめん、何だかすごく可愛くって思わず抱きしめちゃった」

俺「か、かわ?」(かわいい?おれが!?!)

大上くん「宇佐木くん、肩の事で不安な気持ちになるのは解るよ、だったらその不安を取る為にも病院でちゃんと検査しよう。1人は怖いなら僕も一緒に行ってあげるから」

俺「大上さん…、判りました、俺、明日行ってくるっす」

俺「1人で行けるっす、じゃないと男が廃るっす。言って、それでどんな結果だろうが受け入れて、頑張るっす」

大上くん「宇佐木くん…、うん、判った」

大上くん「頑張る子にはとっておきのご褒美をあげるから、期待しててね」にっこり

俺「ご!?」(ご褒美!???)ドキドキドキドキ

大上くん「さて、そろそろ暗くなるし帰るよ、宇佐木くん」スタスタ

俺「あ、ちょ、大上さん、ご褒美って、」

・・・

それから数週間後、大上くん視点

僕(あれから宇佐木くんとは会ってないけど、どうしてるかな)

僕(まさか結構状態が悪かったとか…)

僕「不安だ…」ぐるぐる

宇佐木くん「大上さん!」

僕「!!」

宇佐木くん「あの、来るのが遅くなってすいません。検査して、そこまで酷くなかったけど手術したっす」

僕「そうなんだ」

宇佐木くん「怖かったけど、大上さんがご褒美くれるって言ってたから頑張ったっすよ」キラキラ

僕「ご、ごほうび、」

宇佐木くん「そうっす、覚えてますよね?」ニコニコ

僕「ああ、うん、えっと、」テレテレ

僕「ご褒美は━━━」