【GL】あの日見ていた夢の少女

リリー:
日本人女性

ベラ:
外国人女性


昔々あるところに、リリーという女の子がいました。
大きな目に、小さな鼻、クリクリ頭の色白の可愛い女の子です。

そんなリリーは子どもの頃、不思議な夢を見ていました。夢に何度も何度も、同じ女の子が出てくるのです。

1度も会ったことがないはずなのに、なぜか気になるその女の子は金髪で髪が短く、日焼け肌の青い目の女の子…。リリーのことをよく知っているようですが、リリーはその子のことを何も知りません。

名前も、好きなことも教えてはくれません。リリーはその少女のことをベラと呼ぶようになりました。リリーは、嬉しいことがあった時や困ったことがあった時、悲しい時、不安な時にベラにお手紙を書きました。その日の夜は、必ずベラが会いに来てくれるからです。そして、いつもリリーがかけて欲しい優しい言葉をかけてくれました。

「あなたならきっと大丈夫」

「私が見てるわ」

「やったわね。誇りに思うわ」

「大好きよ」

リリーもベラのことが大好きでした。
でも、会えるのはいつも夢の中でだけでした。

そんなリリーも小学生になりました。誰にでも親切で優しかったので、リリーはお友達からも大人気です。いつもリリーのそばには、たくさんのお友達がいました。たくさんお勉強をして、いっぱい笑って、楽しく遊ぶ。そんな幸せな毎日を過ごしていました。

しかし、リリーが中学生になる時のことです。お父さんの仕事の都合で海外に行かなければならなくなりました。仲良くしていたお友達ともお別れしなくてはなりません。リリーはすごくショックでした。

「住み慣れたこの街が大好きなのに…。」

でも、お父さんとお母さんには心配をかけたくありません。2人がいない時に、たくさん泣きました。そんな時に思い出すのはベラのことです。あんなにお話ししていたのに、もう何年もベラには会えていません。

「ベラ…悲しいわ。あなたが居てくれたら」

呟いてみましたが、彼女の気配はありません。

「もうダメなのね…あなたは私の中からいなくなってしまった」

そして、ついにリリーの家族は日本を出ました。

飛行機で半日以上かけ、異国の地へと着いたリリー。
暑いけれど、日本の夏よりサッパリした空気…陽気な国民。
食べ物の色がカラフルで、みんな何だか大きい。
とうとう誰もいない場所に来てしまったんだなと思いました。

夕方、近くのビーチに腰掛けて海を眺めていると夕日をバックに縦長いシルエットの人影がこちらに近づいてきました。

「リリー」

どこかで見覚えのある声で呼びかけられました。

「やっと会えたわ…あなたを待っていたの」

ベラでした。少しだけ大人になっていたけれど、あの時と同じ大好きなベラの笑顔です。

「すごく会いたかったわ。私あなたが好きなの」

「知ってるわ。私も大好きよ」

リリーとベラは、その日からずっと一緒に海辺の町で暮らしました。