勇者と元魔王の世界征服

勇者:勇者。光連合の最高司令官
魔王:かつての魔王だが
グラゴス;魔王の部下で元参謀。苦労するタイプ


「まっ、魔王さまああああああ」

「グラゴスどうした?騒がしいぞ」

「ゆゆゆ、勇者が来ましたあああ!」

「ななな、何いぃっ!!」

「っていうかもう居るぞ。ノックしても気付かないつーか、やっぱ魔王城は広いな」

「「勇者!!」」

「あぁん?勇者様だろ?もしくは光連合最高司令官様だな。
そうだろ魔王?
いや元魔王領で今は光連合占領地の一つの運営代行官殿」

「なぁ…いつも思うが勇者がガラ悪いのはどうなんだ」

「うっせーな。正義は勝たないと正義じゃねーんだよ。
そもそも光連合国内じゃ”神の代理人”だの”善の執行者”だの呼ばれて、
昔みたいに酒場に行けねーしパフパフも無理。
っていうか人族の英雄なんだから少しは酒池肉林ぐらいさせろよって感じ?
だからこっちに来たら少しは息抜きさせろよ。俺とお前の仲だろ?
おら、酒とお姉ちゃんはどうした?」

「(チッ グラゴス、早急に歓待の準備を。今夜は夜会を開く。
もちろんその後に特別な接待も忘れないように。」

「ま、魔王様!!」

「へっへっへ、3回目ともなれば分かってくるな。流石は元魔王。
君の部下は物分かりが悪いねー。クビにすれば?」

「確かに光連合はこの土地の支配者だがその運営権は私が代行している。
その運営に関わる部下達の管理権限も私にあるので、クビにするかどうかは私が決めることだ」

「あれ?もしかして怒った?冗談だよ冗談、はっはっは」

「あっ勇ちゃんだ~。キャ~いつ見てもイケメ~ン」
「勇ちゃんおまた~。最近見なくて寂しかったの~」

「お、サキュちゃんにリムちゃん!全然待ってない待ってない。俺は君達の為ならいくらでも待てるよ!」

「勇ちゃんやさしい!」
「じゃあいつもの部屋にいこっか~」
「へっへっへ。夜会まで眠らせないぞ~」
「「きゃ~エッチ~♪」」
「…魔王様、どうやら勇者は例の部屋へ行ったようです。」
「そのようだな」

「魔王様、勇者は今、夢魔達の接待を受けています。
夜会後に疲弊して熟睡している時にヤるのも良いですが、今でも十分ヤれるかと!」

「待て待てグラゴス。元魔王軍参謀としてお前の忠誠心はよく分かるが冷静に考えてみろ。
勇者と我が魔王軍がぶつかった結果が現状だろう?」

「あの時は勇者に仲間達が付いていましたし、そもそも最終決着は魔王様はお一人ではありませんか!!
せめて私達幹部が勇者パーティーの騙し討ちにあわなければ……くそっ!」

「それを加えても勇者の力は突出しているが…考えてみろ?
もし、万が一、奇跡的に、偶然にも?勇者を倒せたとしてその後はどうする?

「…魔王様、弱気ですね」

「彼我の戦力差を知るのは当然だからな。
で、だ。再度問うぞグラゴスよ。
勇者を倒した後、その後ろに控える光連合はどうする?人族との争いは?争いが消えたことで安心して暮らせるようになった魔族達はどうする?」

「分かっております!ですが…ですがっ!あの勇者の横暴、見るに耐えません。善や神の使徒であるなら、せめてそれにふさわしい態度をすべきです。
なのに今の勇者は”魔界の蛮族王”こと魔公爵ドルドルムドのような振る舞い!」

「あー…ドルドルムドは脳筋だからな。力こそ全てという考えも魔族らしいと云えばらしい。
とにかく今は待って欲しい。我にも我の考えがある。お前達を悪いようにはせん。」

「ま、魔王様…申し訳ありません。」

「敗軍の将たる我が今だに魔王領を治めているのもおかしな話ではあるからな。
だからこそもう少し見てみようではないか。
人族と魔族が共同体となった今の光連合を。人魔連合を。」

「おはよー魔王、いや~昨日は凄かったぜ?
流石は魔界随一の接待。身も心も堕落寸前イキまくり。」

「…それは良かった。で、本題に入りたいのだが、光連合最高司令官殿はどういったご用件で当地までご足労を?
夢魔達と遊ぶためであれば、本日もそのように手配させていただくが。」

「魔王、かたい、硬すぎるよ~。って元魔王か。
いやー、大したことじゃないよ。前回はもっと友好的だっただろ?」

「お前…あの時に光連合から購入を強制された食料がどれほどか知らんだろ?」

「あー、人族も魔族も食事は基本同じで雑食だから、魔族は主食を人族用に切り替えるべし、だっけ?
確かに魔族の料理が食べ難くなるのは困るけど人族の料理も美味しいぞ?」

「美味しいだけなら良いが、その為に魔界の食料庫と云われてた農耕地帯で働いてた多数の農民による失職問題で大変だったんだぞ…?
おまけに魔族の料理への愛国心が沸いて、ブランド化するなんて流れが生まれたりしてな。」

「消えて無くならずにブランド化なんて良いじゃねーか。」

「そこで高まった愛国者の中には、現代行官兼元魔王の我を魔族の裏切り者扱いする始末でな。色々と火種が増えて大変なんだぞ?」

「それはそれ。ほら、俺も見て分かる通り大変だろ?」

「…頭痛がしてきたんだが」

「おいおい、元気出せよ。ほら、今度、光連合の可愛い子ちゃん紹介してやっから。
お前は元魔王だけど今は領主だからな。きっとモテモテだぞ?」

「もしかして勇者ってこれが素なのか…?」

「んで、とりあえず話を戻すけど、
ほら、魔王領ってお前が治めてた時は今の10倍ぐらいあったろ?」

「…そうだな。
現在の光連合占領地の内、我が担当する元魔王領というのは云わば直轄地で、それ以外は魔公爵等の他の魔族が支配したままだ。
これは魔王という存在が魔界全土の支配者ではなく、魔界各地の王の頂点だから仕方のないことだな。
そして我の降伏に納得できず人族と徹底抗戦する勢力もあれば、戦火から遠い地理を利用してどちらにも所属せず独立国という体裁の国もある。
しかしそれは我の命令ではなく彼らの考えだから、我が止めようとしてもどうしようもないぞ?」

「そこを新たな光連合の支配地にすることにしたから」

「はっ!?も、もう一回言ってくれ」

「ん?いや、言葉通り、元魔王領の内、まだ光連合の支配地になってない地域を
支配下に治める為の戦争をすることにしたから。」

「はあああああああ??勇者、お前マジで言ってるのか?」

「おう、マジっていうか、これは俺じゃなくて光連合の議長国が決めたことだから俺にも拒否権は無いぞ。んで、先兵は魔王の軍隊になるから。
いや?勇者と元魔王軍の共闘だぞ?夢の共演ってやつだな。」

「・・・嫌いだ・・・」

「え?」

「人間なんて嫌いだああああああああ」

「って、ちょ待て魔王!どこに行くんだ?」

「家に帰る!」

「え?お前の家ってここじゃねーの?」

「ここは職場だ!」

「そっかー・・・って待てよ魔王!!お前が消えたら俺の酒池肉林を叶えてくれる奴がいなくなるんだあああ」

帰宅する魔王?それを探す勇者?
魔界の未来はどうなるのか?

fin