ユウタと怪獣

ユウタ:
六歳の男の子。

ユウタのお母さん:
女性。


ここではないどこかの星のどこかの町にユウタというとっても賢い少年がいました。

「じゃあ、また明日遊ぼうねぇ」

そう言ってユウタはお友達に手を振ります。と、そこへ強そうな怪獣が現れました。

「うわぁ、君は一体何なの?」

そうユウタが言うと

「僕は見ての通りの怪獣だよ」

怪獣は返事をします。

「うわぁ、本当に怪獣さんなの! 初めて見たよ僕」

ユウタは目をキラキラさせて怪獣の方を見つめています。すると怪獣はちょっぴり照れくさそうに

「そうかい? そんなに喜ばれると照れちゃうね」

と言いました。

「怪獣さんなのに何だか小さいね。僕とあんまり背丈が変わらないみたいだよ」

ユウタが言うと

「怪獣だからといって巨大だとは限らないよ。人だって背の大きい人や小さい人がいるだろう? それと同じことさ」

「そうなんだ、僕知らなかったなぁ。怪獣さんってみんな大きいと思ってたよ」

ユウタはそう言って怪獣と並んで自分の背丈を見比べています。

「でも、僕は怪獣の中ではそんなに小さいほうではないんだけどね」

「えっ、そうなの?」

「そうさ。僕なんかよりずっと小さい怪獣もたくさんいるからね」

怪獣はそう言ってちょっぴり自慢げです。

「ふぅーん。怪獣さんにもいろいろといるんだね」

「まぁね。ところで君は一人なのかい? お母さんは?」

怪獣は不思議そうにそう聞きます。するとユウタは

「さっきまで友達と遊んでたの。それでね今はお母さんが迎えに来るのを待っているんだ」

「そうかい。早く迎えに来ると良いね」

「うん! ママが来るまで一緒に遊ばない?」

「僕とかい? 別にいいけど何して遊ぶんだい?」

怪獣がそう聞くと

「そうだなぁ。ヒーローごっこが良いな! それでね、僕が怪獣役をやるから、怪獣さんはヒーロー役をやってよ」

と言うではありませんか。

「怪獣の僕がヒーロー役とはなんだか不思議な感じだなぁ。でもいいか。行くぞ」

「がおーがおー。悪い子は食べてやるぞお!」

早速ユウタは怪獣になりきってそう言います。すると怪獣の方も負けていません。

「来たな。ヒーローの僕が相手だ!」

「出たなヒーローめ、こうしてやる」

ユウタはそんなことを言いながら、怪獣のお腹を思いっきりくすぐったのです。

いくら怪獣だってお腹をくすぐられてはたまったものではありません。

「わっはっはっは。こりゃあたまらん。僕の負けだぁ」

怪獣はあまりのくすぐったさに降参してしまいました。

「やったー! 僕の勝ち」

ユウタは大喜びです。そして

「じゃあ次は僕がヒーローをするから、怪獣さんが悪者役をしてね」

「ぐぁおー。みんなを驚かせてやるぞ。がおー」

さすが怪獣、悪者役も様になっています。と、そこへ

「とうっ!! 悪者め。このヒーローのユウタマンが成敗してくれる」

ユウタもなかなかヒーロー役が様になっています。

「ぐっはっは。ヒーローの分際でこの僕に勝てるかな?」

怪獣はそう言ってユウタに近づきます。そして次の瞬間、大きな声で

「必殺尻尾なで!」

と言いながら大きな尻尾でユウタのお腹をこちょこちょとくすぐったのです。

最初はほっぺたを大きく膨らませて堪えていたユウタでしたが、あまりのくすぐったさに

「きゃっはっはっは」

と大声で笑いだしてしまいました。

こうしてユウタと怪獣は二人して大声で笑いながら、とっても楽しそうに遊んでいました。

するとそこへ

「ユウター、ごめんね遅くなって迎えに来たわよ」

とユウタのお母さんが買い物かごを片手にぶら下げながら公園に迎えに来ました。

「ママー、遅かったねぇ」

「ごめんねユウタ、ホントに遅くなっちゃったわね」

お母さんはなんだか申し訳なさそうにしています。それもそのはず、辺りはちょっぴり薄暗くなってきています。

「ううん。ママ、僕平気だったよ、だって怪獣さんが一緒に遊んでくれてたんだもの。すっごく楽しかったよ」

ユウタは心から楽しそうにそう言いました。

「あらそうだったの? この方が怪獣さんね。うちのユウタがお世話になったみたいでありがとうございます。夕食の準備してたら遅くなっちゃって」

「いえいえ、僕も楽しい時間を過ごさせてもらったから」

そう言うと怪獣はユウタの方を振り返り

「ね、ユウタ君。また遊ぼうね」

と言ったのでした。

「さてそれじゃあユウタ帰りましょうか」

「うん。ママ僕お腹空いた。それじゃあね怪獣さん。またヒーローごっこをして遊ぼうね。バイバイ」

ユウタは怪獣の方に向かって大きく手を振ります。

「そうだね。また遊ぼうね」

怪獣もそう言ってユウタに大きく手を振り返します。

「バイバーイ!」「バイバーイ!」

ユウタと怪獣はお互いが見えなくなるまでずっと手を振っていたのでした。

「――僕は怪獣の中じゃ決して小さいほうじゃないんだけど、彼らには負けちゃうなぁ……」

ドシンドシンと大きな音を立てて歩いていく親子を見つめ、怪獣はぼそりとそう呟きました。

怪獣はどこにでもいます。そして彼ら巨人族も――。

この星は地球から遠く離れたとある場所にある。巨人たちが住む場所なのでした。