【BL】モテたい俺の大学デビュー

赤塚有志:
とにかくモテたい男子大学生。

佐々木剛太:
アニオタの男子大学生。


赤塚有志は19歳の男子大学生である。
小学校・中学校・高校とまるでモテなかったので、彼は大学デビューしてやろうと目論んでいた。その目論みはまあまあ上手くいったのだが、残念ながら釣れた相手は可愛い女子ではなくゴツい男子達だった。
しかもその内一番有志のことを好いていたのは、なんという事かアニメオタクの佐々木剛太であった。

剛太「有志~! 一緒にアニメイベントいこうぜ~!」

有志「ごめん…俺アニメとか良く知らないし」

剛太「そんなこと言うなよ~。一回行ってみればハマるって。超イイよ~」

有志「そうか…?」

そうは言ってもそのアニメも知らないし、アニメに出ている声優さんも知らない。こんな人間がイベントなどという聖地に赴(おもむ)いても良いものか非常に悩む。

剛太「まあそんなに嫌なら別にいーよ、行かなくても。その代わり一緒に遊ぼうよ」

有志「ああ、遊ぶのなら別にいいけど」

剛太「ほんと? じゃあさ、これ着てみてよ!」

有志「…ええと…これは何だ…?」

剛太「コスプレ衣装♪」

有志「……」

剛太「有志って体細いし顔もけっこう可愛いし、絶対このメイドさんコス似合うと思うんだよね~」

有志「おいまて。まさか俺にこれを着ろというのか?」

剛太「そうだよ~。だって絶対似合うもん!」

似あう…そんな簡単な一言で立派な日本男子である自分が女性コスプレをして良いものか…有志は散々悩んだが、これもチャンスだと思ってチャレンジしてみることにした。その結果、剛太だけでなく周囲の人々までもがそれを絶賛した。

友人1「おお~似合うじゃねえか赤塚!」

友人2「ホントホント! なにげにコスイベントとかいったらモテるんじゃない?」

有志「コ、コスイベント…?」

友人の勧めのままにコスプレイベントに行ってみると、なんということか大層モテた。
小学校・中学校・高校とまるでモテなかった有志は、この快感にハマってしまったものである。
それからというもの有志はコスプレイベントに足しげく通い、多くの人々を虜にした。
しかしこうなってくると面白くないのは剛太である。

剛太「有志の資質を見抜いたのは俺なのに、皆にチヤホヤされて俺のことないがしろにするなんてズルいよ」

有志「まあ仕方ないじゃん。俺がそれだけイケてるってことなんだし」

剛太「そんなことない! 有志は俺のものだ!」

有志「ええっ!? ちょ、おまッ…!」

剛太「有志~~!!」

有志「うわあああ」

こうして有志は欲望のままに剛太に襲われてしまった。
しかも剛太がこの事実を大学中に言いふらしたものだから、周囲の有志ファンも幻滅して去ってしまったものである。
あれほど望んでいたモテモテ大学生ライフがこんなことで失われてしまうなんて…そう思うと有志は涙が止まらなかった。

有志「くそ…これも全部剛太のせいだ。お前さえいなければもっとモテたはずなのに…!」

剛太「それは間違いだよ。俺がアニコスを勧めたからお前はモテたんだ」

有志「違う! 俺はコスなんかしなくてモテたはずなんだ!」

剛太「そうかよ…。じゃあやってみろよ」

有志「おうよ! のぞむところだ!」

有志は意気込んでモテオーラを振りまいた。がしかし、誰も引っかからない。
仕方なくお洒落な服を着たり香水を振りまいたりしたが、どうにもこうにも誰も引っかからない。
この状況に有志は愕然とした。

有志「なぜだ! どうして…最初はコスなんかしなくてもモテたはずなのに…!」

剛太「ふふ、残念だな有志。つまりお前はコスでこそ魅力が開花するんだよ」

有志「そんな…!」

剛太「しかしどうだ、お前はアニメには疎い。俺がいないとハマり役のキャラすら分からないだろう? つまりお前は俺がいないとモテないんだよ!」

有志「そんなっ!!!」

剛太「しかも今のお前は俺のモノだと周囲に認識されてる。そんなお前がモテるはずない!」

有志「う、嘘だ~!!!」

しかし剛太の言う通り、何もしない素の状態で有志がモテることはもうなかった。
逆に、剛太に言われるままにアニメのコスプレをすると一気にモテた。
モテることは嬉しい…しかし何のコスプレをすればモテるか、それは有志にはわからない。このことが有志には辛かった。

有志「なんてことだ…俺はもう剛太ナシにはモテないんだ…」

有志「こんなんじゃ生きていけない…」

剛太「ふふ…そうだろう? そんな有志に選択肢をあげるよ」

有志「選択肢…?」

剛太「そう。俺と付き合えば最新のコス事情を教えてあげる。そうすれば常にモテるよ。嬉しいでしょ?」

有志「ま、まあ…」

剛太「逆に俺と付き合わないなら何の情報もあげない。そうするとお前は全然モテないわけ。小学校・中学校・高校とまるでモテなかったのを大学でもとくと味わうが良いさ」

有志「いやだ~!! そんなのいやだ~!!!」

剛太「でしょ? ってことは俺と付き合うってことでいいよね?」

有志「うう…本当は嫌だけどもうそれでいいよ…」

剛太「は? 今何て言った?」

有志「何でもないです。すげー付き合いたいっす」

剛太「だよね~」

こうして有志は正式に剛太と付き合うことになった。
以降、有志は学内でコスプレ王子として君臨することとなる。
モテてモテてモテまくったら剛太と別れて可愛い女子と付き合ってやろうと思っていた有志だったが、その内剛太のアドバイスが快感になり、そんなことはどうでもよくなってしまった。

剛太「有志~今日はメイドコスでデートしようよ。この服とかめっちゃオススメだよ」

有志「お、いいね。でも俺にはちょっと可愛すぎるかな?」

剛太「そんなことないよ。絶対似合うって!」

有志「そうか? じゃあ…」

剛太「うんうん、似合う似合う。今日もすっごい可愛いよ♪」

有志「だよな!」

こうして有志はすっかり剛太の手に落ちたのであった。
有志は今日も剛太オススメのコスプレに勤しむ。
モテたいというその一心のためだけに……。

END