僕とピオのいた世界

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健太:
心優しい少年

ピオ:
健太の飼っているインコ

お母さん:
健太の母


健太「こんにちは」

ピオ『こんにちは』

健太「こんばんは」

ピオ『こんばんは』

健太「やぁ、元気かい?」

ピオ『やぁ、元気かい?』

健太「ボクと一緒に遊ぼうよ?」

ピオ『ボクと一緒に遊ぼうよ?』

健太「……はぁ~」

僕の名前は健太、そしてこの赤いくちばしとキレイな黄色の羽が特徴の鳥はピオ。

ピオは僕がお母さんに強請(ねだ)ってやっと買ってもらったインコなんだ。

ピオが初めて家にやってきた時には、一人子だった僕はまるで弟が出来たかのように嬉しかったものさ。

それまでずっと兄弟がいなくて、弟や妹のいる友達を羨ましいって思っていたし、僕にも可愛い弟や妹がいればなって思ってたんだもの。

だからピオが僕の家にやってきて以来、ずっと可愛がってどこへ行くにも一緒。

お友達のゆうすけ君家に遊びに行った時だって、お父さんに作ってもらった小さな木箱にピオを入れて連れて行ったものさ。

あっ、そうそう学校にだって先生にバレないようにランドセルの中にこっそりと入れて連れて行ったことだってあったんだ。

結局クラスの委員長にピオを見られちゃって、先生に言いつけられちゃったけどね。

あの時は先生にすっごく怒られちゃったなぁ。

家へ帰ってからはお父さんにも二度と学校へは連れて行っちゃだめって言われちゃったし。

でもそれくらい僕はピオのことが大好きだったのさ。ピオだってきっと僕のことを好きなはず。

僕にとってピオは本当に大切な家族であり、自慢の弟だったんだ。あの日までは……。

・・・

その日、僕はいつもみたくピオと一緒に外へ遊びに出かけたんだ。

だけどその日の帰り道、空が急に光ったと思うと、次の瞬間には僕たちの体はその光に包まれていた。

そして気がついた時にはこの場所に僕とピオはいた。この場所には僕とピオ以外何もない。本当に何も無いんだ。

僕の大好きなロボットのおもちゃも毎日見ていたテレビも、おいしいおやつも、そして、そしてお父さんもお母さんもここにはいない。

真っ白の床と僕とピオだけ、後はどこまでもどこまでも空間がただ広がっているだけなんだ。

試しに一度ずっとずっと歩いてみたこともあったけど、どれだけ歩いてもどれだけ走っても同じ光景でどこにもたどり着けなかったんだ。

次にものすごく大きな声で助けを読んだりもした。

でも誰も返事はしてくれないし、誰も来てくれなかった。

そういえばピオを空中に飛ばしてどこかに出口がないか調べてもらおうとしたこともあったよ。

だけどピオは怖がって僕から離れたがらなかったし、もし飛べたとしてもきっと出口なんてどこにもなかったと思う。

でもね、不思議なことにお腹は減らないし眠たくもならない。

お風呂だって随分入っていないはずなのに体は痒くもならないし汗臭くもならない。汚れてだっていない。

最初は何がなんだか分からなくてとっても怖かったんだけど、僕はピオのお兄ちゃんなんだからピオを守ってあげなくちゃいけない。だから泣くのは何とか堪えた。

それに学校も苦手な宿題もいじめっ子だっていないからちょっぴり得した気分にもなったしさ。

だけどやっぱりお父さんもお母さんもお友達のゆうすけ君もいないのは寂しい……。

ピオが話し相手になってくれるかなって思ったりもしたけど、ピオは僕の言葉を繰り返すばかりで話相手になんてなってくれないんだ。

一体どうして僕はこんな場所に来てしまったんだろう。いつになったらお家に帰れるんだろう?

そんなとき、僕はいつものようにピオに向かってこう言ったんだ。

健太「こんにちは」

ピオ「お兄ちゃん、今までピオを可愛がってくれてありがとう。だけどやっぱりお兄ちゃんはゆうすけ君と遊んでいるときやお父さんやお母さんと一緒にいるときのほうが楽しそうだ。ごめんね今まで。
実はお兄ちゃんがこんな不思議な世界に閉じ込められたのはピオのせいだと思う。お兄ちゃんがピオ以外の人と楽しそうにしているのを見て、ピオだけのお兄ちゃんだったら良かったのにって何度も何度も思ってたんだ。
あの日だってそう、ゆうすけ君家からの帰り道もピオは木箱に揺られながらこのままお兄ちゃんと二人でずっと誰にも邪魔されずにお話がしたいって願ってたんだ。
そうして気がつくとこんなヘンテコな場所にいたんだ」

健太「ピオ……。本当にそんなこと願ったの? 僕はお父さんやお母さん、ゆうすけ君と同じくらいピオのことも大切に思っていたのに……」

ピオ「本当にごめんね。でももうすぐお父さんやお母さんのいる世界へ帰れると思うよ。ピオがそう願ったから。でもきっとピオはあんな悪いことを願ってお兄ちゃんを困らせてしまったせいで、一緒には帰れないと思う」

健太「ピオ、だめだよ。帰るんなら一緒だよ」

・・・

お母さん「健太、健太ったらいつまで寝てるの?もう朝よ起きなさい」

健太「はっ、お母さん。ここはどこ?」

お母さん「何寝ぼけてるの。学校遅れちゃうわよ」

健太「僕、元の世界に戻ってこれたんだ……。そうだピオは? ねぇお母さん、ピオは?」

お母さん「ピオって何なの? またおかしな夢でも見たんでしょ?さっさと朝ごはん食べちゃいなさい」

健太「あれ? もしかしてホントに全部夢だったのかな?」

・・・

健太の手にはキレイな黄色の羽が一枚握られていました。

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