能力者のレクイエム

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村人:
自分でも知らない秘密の力を持っている。男。

剣士:
パーティー最強の男。

魔法使い:
姉御肌の女。

盗賊:
正義溢れる義賊の男。

僧侶:
頭の回転が速い。女。


剣士「我が能力は『茨の道(ダメージロード)』。この能力が発動したが最後、貴様の命は消えよう」

村人「うぜぇ」

剣士「な、なんだと!『茨の道(ダメージロード)』が効かないだと。ま、まさか貴様が例の……うぅ」

村人「いや違うから。っていうか俺何もしてないんだけど。ねぇ、まるで俺のせいみたいに言うの止めない? 俺関係ないよね。ねぇ、聞いてる?」

魔法使い「な、なんてこと。剣士がやられるなんて。こいつなかなかの強敵よ」

僧侶「剣士さんはパーティー最強の男ですからね。私たちも気を引き締めていかないとやられるかもしれませんね」

盗賊「もしものときは逃げろ。俺が囮になるぜ」

僧侶「そんなことできませんよ。死ぬときはみんな一緒です」

魔法使い「そうよ。あんた一人置いて逃げたら、魔法使いの名が廃るってもんよ」

盗賊「お、お前ら……。そうだよな俺たちはみんなで一つのパーティーだ。勝って生き残るぞ。みんなで帰るんだ」

魔法使い「おう」

僧侶「はい」

村人「ねぇ、俺を悪者にするの止めようか。俺、何もしてないからね。そいつが勝手にこけて頭ぶつけて気絶しただけだからね」

魔法使い「私の能力を受けてみよ。『心の叫び(ハートフルブレイク)』」

村人「……」

魔法使い「そんな私の力も効かないなんて。ば、化け物よこいつは」

村人「俺、ただの人間なんだけど。っていうか俺何もされてないよね? 『心の叫び(ハートフルブレイク)』って何さ」

魔法使い「うっ……。何これ。痛い痛い痛い痛い。体中が痛い。あああああ!」

僧侶「魔法使いさん。今回復しますから!」

村人「手が光った。段々顔色も良くなってる。っていうかお前らなんなのマジで。なんで俺を攻撃しようとするの。ねぇ、落ち着いて話し合わない?」

盗賊「次は俺が相手だ。『裏表(リバーシブル)』。説明しよう。この能力はすべてを逆にする。炎は水に、男は女に、正義は悪に……敗北は勝利に」

村人「いるよねぇ。自分の能力をぺらぺらと説明するやつ。説明しなきゃ勝てたのにってパターンあるんだよな。はっきり言って能力の説明なんて無意味だぜ。だって俺は勝っても負けてもいないんだから。それ以上に俺はまだ何もしていないんだから。お前らが勝手に暴れまわって倒れてるだけの話だ。俺を当事者にするなよ」

盗賊「う、嘘だ。俺の『裏表(リバーシブル)』が通用しないなんて。こんなこと今までになかった。何なんだよお前は? お前は一体何者なんだ?!」

村人「それは俺のセリフだよね。お前らこそ誰だよ。一体何の用があって、俺の家に来たんだよ。こんな山奥の家に。俺しか住んでいない家に。会ったこともないお前らが、一体何の目的で来たんだよ」

僧侶「噂は本当だったんですね。半信半疑でしたが……」

村人「噂? 何なんだよ噂って? そういやさっきそこに倒れてる男が『例の』って呟いたよな。だけどよ、はっきり言って俺は無関係だぜ。俺には何の能力もないんだから。お前らだって俺と同じ無能力者なんじゃないのか。誰も能力を発動できていないみたいだしよ」

僧侶「私たちは紛れもない本物の能力者です!」

村人「おっ? ようやく話がかみ合ったぜ。なぁ、聞かせてくれよ。なんでお前らは俺を攻撃するんだよ。俺が何かしたかよ。何もしてないよなぁ?」

僧侶「とぼけないでください。自分が何をしてきたのか分かっているんですか?」

村人「何を言ってるんだよ? 俺はこの場所でのんびり暮らしてるだけだぜ」

僧侶「あ、あんなにたくさんの人を殺しておいて、よくそんなことが言えますね!」

村人「人を殺した? おいおい、待てよ。なんのことだ? 俺は誰も殺してないぞ。なぁ、誰かと間違えているんじゃないのか。俺は人なんて殺してないぜ」

僧侶「えっ? ……嘘です。そんなはずはありません。確かにあなたのはずです。殺人者はあなたのはずなんです」

村人「俺が殺人者? どういうことだよ。誰か説明してくれよ。今、一体何が起きてんだよ。何なんだよ一体。俺が人殺し? ふざけてんじゃねえぞ。心当たりの無いことで、なんで殺されかけなきゃいけないんだよ」

僧侶「……今、この山の付近で多くの変死体が発見されています。どの遺体も能力で殺された後がありました。我が国における最高の能力者は、ここ最近強い能力が発動されたのを感知しています。能力が発動された場所は、そこに建っている家。つまりその家に住んでいるあなたが能力の発動者であり、しいては我が国を悩ませている殺人事件の犯人だということに他なりません」

村人「俺の家で能力が発動された? バカなこと言ってんじゃねえよ。俺じゃねぇ。他の誰かの仕業に決まってる」

僧侶「いいえ、あなたです。現に私の仲間はあなたの能力によって倒されています」

村人「ふざけてんじゃねえぇ!!」

僧侶「くっ、これは?」

魔法使い「ヤバそうね。食らえ『心の叫び(ハートフルブレイク)』」

盗賊「『裏表(リバーシブル)』」

村人「やっぱり何も発動しねえじゃねえか」

魔法使い「ぐふっ」

盗賊「がはっ」

村人「はっ? なんでこいつら血を流して倒れてるんだよ」

僧侶「ま、まさか。そんなことって。知らせなきゃ。王様に報告しなきゃ」

村人「一体何が起こってんだよー!」

・・・

剣士と魔法使い、盗賊は死んだ。僧侶はただ一人の生き残りとして、王様へ報告した。殺人者の能力の詳細について。

男の能力は『カウンター』。しかも無意識のうちに発動するもの。周囲で能力が発動されれば、その能力に見合ったダメージを発動者に返すという能力。村人は無意識のうちに能力を発動させ、人を死に追いやっていたのだ。

僧侶「彼は嘘はついていなかった。彼自身、知らず知らずのうちに周囲を破滅に追い込んでいた。今回の事件の一番の被害者は彼と言えるかも知れません」

その後、変死事件はピタリと止んだ。僧侶が山に踏み込むと男の姿はすでになかった。村人がどこに行ったのかは誰も知らない。

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