どうやら魔王は異世界に飛ばされたようです

魔王(まおう):
男 多分1000年以上生きている
魔界ではスカイツリーよりも大きいが、地球ではチワワサイズ、見た目もチワワ。というかチワワそのもの。
とても横暴な性格で魔界では恐れられる存在だが、おバカなのでふとした拍子に地球にきて戻れなくなってしまった
佐藤家でチワワとして可愛がられている。

佐藤 一郎(さとう いちろう):
男 15歳 中学3年
チワワだと思って拾ってきたら魔王だったけど気づかず飼っている。

母:
女 30歳位
魔王がチワワだろうが気にしない。家の中で一番強い。

側近:
男 100歳位
魔界では東京タワーよりも大きな体を持つ見た目が土佐犬。魔王の側近だが誤って魔王を奈落の穴へ突き落してしまう。


魔界にて――

側近「魔王様、魔王様、申し上げたい事がございます」

魔王「うむ、言うてみい」

側近「はっ。実は魔界の端にどうやら奈落の穴が出来たようでございまして…」

魔王「奈落の穴だと? ううむ、わしがこの魔界に誕生して初めての事ではないか。よし、見に行こう。案内せい」

側近「ああっ魔王様、お待ちくだされ、魔王様――」

魔界の端――

魔王「これが“地球”とやらに通ずる奈落の穴か。ただのくぼみにしかみえんが」

側近「しかし、文献では“地球”へ繋がる唯一の穴のようですぞ。えーっと、確かここに…」ドンッ

魔王「おわ~~~~」

側近「ああっなんて事を。魔王様、魔王様ーーーーっ」

地球――
ヒューッ  ドンッ

魔王「きゃうんっ」

魔王「痛て、うん? ここは…“地球”か?」

女子高生A「あ、可愛い~チワワじゃん」

女子高生B「ほんとだ、迷子かな?」なでなで

魔王「あっおい! 触るでない! わしを誰だと心得ておる! 魔王じゃぞ!」

女子高生A「すっごい人懐っこいチワワだね~」

魔王「くそう、地球人はわしの言葉が聞こえぬのか? ここは一時撤退じゃ!」

女子高生B「あ、逃げちゃった」

魔王「はぁ、ここまで来ればもういいだろう。しかしなんじゃ地球人とやらは…無礼者めが…」ハァハァ

佐藤 一郎「ん? チワワ?」

魔王「あ! 地球人の子供か! おい、喉が渇いたぞ、何か献上するのだ」

一郎「ハァハァ言ってるけど喉でも乾いてるのか? 飲みかけだけど水でも飲む?」

魔王「ごくごくごく、はぁ、一息ついた。なかなか見込みのある子供ではないか。よし、お前をわしの第三側近にしてやろう」

一郎「うわー足にまとわりつかれても連れて帰れないからな。連れて帰ったら絶対母さんに叱られる」

魔王「あ、待て、逃げるでない!」

一郎「ただいまー」ぱたぱた

母「おかえ…一郎? 後ろのチワワはどうしたの?」

魔王「ああ、お前の母君か? なかなかにオーラが強いようだがどのようなスキルを持っているのだ。鬼か? 鬼か?」

一郎「あ、え? お前! …えーと、これは、あの、そういう訳じゃ…」

母「まぁ、後で交番にでも行って迷子犬の届け出をだしましょう。取りあえずお風呂に連れていって足の裏を洗ってあげなさい」

一郎「はぁーい、よし、いくぞチワワ」

魔王「あ? 風呂? 風呂とは…ああ~~~~」ズルズルズル

・・・

一郎「ふう、綺麗になったな」

魔王「なんじゃ、あの滝の出る怪物は…地球とは恐ろしい所なのか…」

魔王「ぐぬぬ、地球人め…こうなったらわしの力を見せてやる! いでよ! わしの側近よ!」ゴゴゴゴゴ

一郎「ん? なんだこの地響きは…って、うわー! なんだこの犬! どっから出てきた!?」

わんわん! わん! きゃんきゃん!

魔王「ははは! 見たか! わしの側近達だ! 皆の者、地球人へ襲い掛かるのだ!」

一郎「わー! ゴールデンに柴犬にシベリアンだーーーうわーふわふわもこもこの毛が気持ちいいーーー」もふもふ

魔王「どうだ恐ろしいだろう! 泣きわめきおののくがいい!」

母「ちょっと一郎、うるさいわよー、って何よこのわんわんパラダイスは! チワワだけじゃかったの!??」

一郎「あっ違うんだよ母さんこれは、そのっ」

わんわん! きゃうん!

魔王「む、魔力が尽きてしまったか。やはり魔界と地球では魔力の量が違うのだな」

一郎「い、犬が消えた…?」

母「え? 何? 何だったの?」

魔王「ああ、腹が減った。おい、地球人とそこの鬼の女よ。わしに極上の食を用意するのだ」

母「なんか今ものすごい失礼な言葉が聞こえた気がする…、まぁ、とにかく静かになったならいいわ」スタスタ

魔王「おい、早く用意せんかー、わしはもう腹ペコじゃ」

一郎「ん? 何? お腹空いたの? 犬用のご飯ってあったかなぁ」

魔王「お、どこへ行くのだ? 飯か? 飯はまだか?」

一郎「えーと、取りあえずこれはどう? 食べるかな」

魔王「お、なんだこの匂いは、これは…うまい! うまいぞ!」

一郎「犬って出し巻き卵の缶詰食べるんだ?」※人間の食べ物を犬へ与えてはいけません

魔王「もぐもぐもぐ、ああ美味かった。お前、飲み物といいよくわしの好みを知っているではないか」

魔王「第一側近にしてやってもよいぞ、土佐の奴はわしを奈落へ突き落したのだしなぁ!」

側近「そりゃないですよ魔王様ーーー!」どろん!

一郎「え! 何! 土佐犬!? どこから!」

魔王「おお、土佐め、お前よくもやってくれたな?」

側近「魔王様、あれはわざとじゃないんですよう、ん? なんですかこの匂いは…くんくん、良い匂い」

一郎「あ、お前も腹減ってるのか? まだちょっと余ってるから食べるか?」

側近「ぱくぱく! こ、これは…。魔王様、地球はとんでもない所ですね…」

魔王「そうだろうそうだろう、わしはここへ定住する事に決めたぞ。地球を征服して毎日黄色いふわふわのパーティーをするのだ」

側近「ええ、魔界はどうするのです。嫌ですよう、魔王様がいなくなるなんて」きゃうんきゃうん

魔王「ここを征服したら魔界に戻るのだから良いではないか、ええい泣くな泣くな」

母「もう、またうるさくしてるの、って、一郎、あんたやっぱりもう一匹隠してたのね!??」

一郎「あ、これは違うんだよーーー」

佐藤家は今日も平和です。

側近「魔王様、今度はこの缶詰食べてみたいですね」

魔王「うむ、さば、みそ、と書いてあるようだ。うまそうだのう」