貴司と舞美

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貴司:
舞美に好意を抱いている。

舞美:
貴司のことが好き。


舞美「貴司、パンを買ってきてよ。飲み物も忘れないでよね」

貴司は弁当箱を開けようとしていたところだった。貴司は手を止めて舞美を見る。舞美はほんのちょっぴり頬が紅潮していた。

貴司は嫌々ながらも立ち上がり、手のひらを上に向けて舞美に差し出した。

舞美「何よ、その手は? まさかお金を渡せってわけじゃないでしょうね? 言っとくけど、お金は出さないからね。貴司のお金で買ってきてほしいのよ」

貴司「何で俺が金を出さないといけないんだ? 買ってきてほしいなら、お前が金を出せよ」

貴司は舞美をギロリと睨み付けて急かした。舞美は体をビクリとさせ、視線を逸らす。貴司は苛立ち、舞美の体をつねった。

舞美「つねらないでよ。お金は持ってきてないの。何でも言うこと聞いてあげるから、貴司がお金を出してよ」

貴司「そういうことは言わない方がいい。もし仮に死ねって言われたらどうするんだ? そんなこと言われてもお前は死んだりしないだろ? 俺だったから良かったものの、これからは不用意にそんな発言はするな。お前の言うことを聞くのは本当は嫌なんだが、俺の金で買ってきてやるからよ」

貴司はカバンから財布を取り出し、舞美を椅子に座らせた。

舞美「別に心配しなくても大丈夫よ。貴司以外にそんなこと言うつもりないから」

貴司「別に心配なんてしてないけどな。すぐ戻ってくるから、待ってろ」

貴司は舞美の頭をポンポンしてから、購買に向かった。

舞美は貴司が教室から出ていくのを確認し、意識を臀部に集中させた。貴司の温もりが椅子から臀部に伝わるのを感じる。胸がドキドキする。

貴司のことが心の底から大好きだと舞美はあらためて実感した。けれど貴司はどう思っているのだろうか? いつも貴司に昼食を買いに行かせているから、嫌われているかもしれない。そう思うと心がチクりと痛んだ。

何とはなしに机を見ると、ペットボトルが置いてあった。中身が半分ほど減っている。休み時間に飲んだのかもしれない。飲みたいと舞美は思った。しかし、周りにはクラスメイトがいるのだ。もし飲んだりしたら、間接キスだと囃し立てられる可能性がある。そうなると付き合っているという噂が流れかねない。舞美はそう思われても良かったが、貴司は嫌だろう。

でも、頭をポンポンしてくれたということはある程度の好意は抱かれているのだろうか? もしそうなら嬉しい。舞美は思わず頬が緩むのを感じた。

貴司「何をニヤけてんだ? まさかエロいことでも考えてたんじゃないだろうな?」

購買から帰ってきた貴司は呆れた表情で舞美を見つめ、アンパンと牛乳を机の上に置いた。

舞美「ち、違うわよ! 私はただ貴司のことを考えて……はっ、しまった! 誘導尋問に引っかかった!」

貴司「いや、仕掛けてないから。お前が勝手に引っかかっただけだから」

舞美「そ、それにアンパンと牛乳って私に張り込みでもさせる気なの?」

舞美はアンパンと牛乳を見た後、貴司の顔色を伺う。貴司は冷めた視線で舞美をじっと見つめ、ため息を吐いた。呆れているのがわかった。舞美はバカな発言をしたと反省する。

貴司「張り込みがしたいなら勝手にすればいい。そんなことよりお前が早く椅子から退いてくれないと俺は空気椅子で弁当を食べなきゃいけなくなる。早く椅子から退くんだ」

貴司が椅子に座らせたくせにと舞美は思った。舞美は椅子から立ち上がろうとはせず、貴司の目をじっと見つめる。貴司は何も言わずに舞美を見つめ返した。

舞美「ねえ、私と一緒に屋上で食べない? たまには空を眺めながら食べるのも悪くないでしょ?」

貴司「……仕方ないな。お前と一緒に食べてやるよ」

貴司は弁当箱を持ち、教室を出ていく。舞美もアンパンと牛乳を抱え、貴司の後をついていった。

屋上に足を踏み入れると、爽やかな風が頬を撫でた。

貴司は屋上の中心まで歩を進めると、ドサリと座り込んだ。舞美も隣にドサリと座り込む。

弁当箱を開けると、貴司はご飯とおかずを交互に食べ進めていく。舞美は貴司にもたれかかると、アンパンを頬張り、牛乳を飲んだ。

舞美「あっ! ねえ、貴司、あの雲を見なさいよ! ハートの形に見えない?」

黙々と弁当を食べ進めていると、興奮気味の舞美の声が聞こえてきた。顔を上げると、ハート型の雲がゆらゆらと空を漂っているのが見えた。貴司はハート型の雲から舞美に視線を移す。舞美はキラキラと目を輝かせていた。

舞美「あ、あっちの雲もハートの形をしているわね。もしかして私たちのことを祝福してくれてるのかな?」

舞美はニコニコしていたが、突然顔が真っ赤になった。自分の発言を思い出して恥ずかしくなったのかもしれない。

空を流れゆく雲を堪能しつつ、貴司は弁当を食べ終える。横を見ると、舞美はいつの間にか寝ていた。安心しきった表情でぐっすりと寝ている。無防備にもほどがある。

舞美「……貴司……好き……大好き」

舞美は貴司にギュッと抱きつき、寝言をつぶやいた。貴司は舞美の目をじっと見つめる。

貴司「……俺もだ、舞美」

貴司は舞美をそっと抱きしめ返し、おでこにキスをした。

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