マッドサイエンティストの皮肉な研究

スポンサーリンク

マッド博士:
人生を研究に捧げる優秀な博士。

キッド助手:
マッド博士の助手。


マッド博士「あともう少しじゃ。あともう少しで完成するぞい。いよいよわしが人生の大半をかけて研究してきたものが完成するのだ。いや~、これまでの研究は苦労の連続じゃった。最初の頃はまったく研究が進まず、五年ほどは無駄な時間を過ごしてしまったからの。いや、今から思えばあの五年も決して無駄な時間ではなかったのかもしれんのぅ。その後の十年は失敗作ができては作り直し、また失敗作ができては一から研究しなおし、ようやく形が見えてき始めたのは研究を始めてから二十年も経った頃だった。そう思えば長い研究じゃったのぅ。でもいよいよそれももう終わりなんじゃ。あともう一歩のところまで来ておる。いや~、わしの苦労もこれで報われるのじゃ。さてとラストスパートじゃ、最後の最後でミスをしないように気を引き締めていかんとな」

キッド助手「マッド博士、何を一人でブツブツ言ってるんですか? 気が散るじゃないですか、止めてくださいよ、その独り言。マッド博士ったらいつもそんな風に独り言を言ってはニヤニヤしてるんだから気持ちの悪い」

マッド博士「気持ちが悪いとはなんじゃ、失礼な! それよりキッドよ、あと一歩でわしが長年をかけて研究した成果が報われる日が来たんじゃ。ニヤニヤするくらい良いではないか。キッドよ、君だってわしの助手として長年ともに研究をしてきたんじゃから、嬉しいじゃろ?」

キッド助手「そりゃ嬉しいに決まってますよ。なんて言ったってこれでこの世の中を変えることができるんですから。もしこの研究が成功したら博士はノーベル賞ものですよ。いや、ノーベル賞どころかこの世の中を根本的に変える救世主にだってなれるはずだ。まあ、僕だって一緒に研究をしたんですから、僕も救世主ですけどね」

マッド博士「救世主か……確かにそれくらいの価値はある研究じゃ。何と言ってもこの研究が成功すれば世の中から犯罪がなくなるんじゃから。このわしの研究、犯罪を未然に防ぐ装置、その名も完全防犯ブザーじゃ。まあ、ネーミングに関してはもうちょっと考える余地があるがのぉ。とにかくこの完全防犯ブザーさえあれば、今から犯罪を犯そうとしている者を見つけ出すことができるんじゃ」

キッド助手「本当にまさか完成するとは思いませんでしたね。まあ、まだ完全に完成したとは言えませんが、もうここまで来たら完成したも同然ですよね」



マッド博士「やったぞ! ついに、ついに、ついに完成じゃ! お~い、キッドよ。とうとう完成したぞい」

キッド助手「マッド博士、やりましたね。これでこの世の中は警察要らずの平和な世の中に変わるんだ!」

マッド博士「うむ、まあこれからこの完全防犯ブザーを大量に作る必要はあるが、最初の一つは完成したのだからあとは簡単じゃ。このブザーはこれから犯罪を犯そうとする者に近づくとブザーが鳴る仕組みじゃ。今のところはまだ半径五メートルにまで近づかないとブザーは鳴らないのじゃが、最終的には半径一キロくらいまで対応するように改良したいところじゃ」

キッド助手「ねえマッド博士、それじゃ早速そのブザーを持って外へ出かけてみましょうよ」

マッド博士「よし、ではスイッチを入れるぞい。スイッチオン!」

『ブーブーブー』

マッド博士「うわっ、何じゃ! いきなりブザーが鳴ったぞい。ということは半径五メートル以内にこれから殺人を犯そうとしている者がいるということじゃ。この建物にはわしとキッドしかいないから、犯罪を犯そうと企む悪者は……キッド! お前か! お前がこれから犯罪を犯そうとしておるのか?!」

キッド助手「ま、まさか、そんなはずないじゃないですか! ひょっとしてそのブザー、バグが発生したんじゃ?」

マッド博士「いや、そんなはずはない。研究に研究を重ね、何度も何度も試した結果に間違いやバグはないはずじゃ。キッドよ見損なったぞ。いったい誰を殺そうと……ま、まさかわしか? わしを殺そうとしておるのか? 貴様、もしや研究の成果を独り占めしようとしておるのじゃな? この裏切り者が! 今まで信頼しておったからこそ一緒に研究をしてきたというのに……」

キッド助手「ちょっとマッド博士、何言ってるんですか? 僕は博士を裏切るような真似しませんよ。仮にも博士の助手ですよ」

マッド博士「うるさいうるさい。貴様、おいわしに近寄るな、こ、これ以上近づくと……」

キッド助手「ちょっと待ってくださいって。ねえ、博士ったら……」

マッド博士「おい、近寄るなと言っておるだろうが! くそぅ、わしの研究の成果を貴様なんかに独り占めされてたまるか! よし、こうなったら……」

キッド助手「は、博士何をするんですか? た、助けて!」

グサッ

マッド博士「キ、キッドを殺してしまった! し、しかしキッドがわしを殺そうと企んでおるのが悪いんじゃ、これは正当防衛じゃ!」

『ブーブーブーブーブーブーブーッ!!!』

マッド博士「なぜじゃ? なぜまだ鳴っておるのじゃ? 人殺しを企んだキッドはもうわしが息の根を止めてやったのに、なぜじゃ? どうしてブザーは鳴りやまぬ?」

『ブーブーブーブーブーブーブーッ!!!』

スポンサーリンク
レクタングル (大)_336 x 280
レクタングル (大)_336 x 280

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル (大)_336 x 280