質問者と回答者

質問者:
男を閉じ込める謎の女性。

回答者:
連れ去られ閉じ込められた男。


質問者「さて、一つ目の質問です。なぜあなたはここにいるのでしょうか?」

回答者「てめえが俺を拉致したからだろうが! 一体ここはどこなんだ? なぜ俺を閉じ込める? 何の恨みがあるんだ!」

質問者「あぁ、ダメですよ。質問するのは私です。あなたは答えるだけでいい。それ以外の権利はあなたにはありません」

回答者「はぁ? ふざけんじゃねえよ! なんなんだよてめえはよぉー!」

質問者「はい、アウト」

回答者「あ? ぐああぁぁあ!」

質問者「あなたが座っている椅子にはですね。電流が流れる仕組みになっているんですよ。もしまた質問すれば、罰として流しますからね」

回答者「くっ」

質問者「ようやく大人しくなりましたね。では次の質問です。私は男でしょうか? それとも女でしょうか?」

回答者「……どっちだ?」

質問者「はい、アウト」

回答者「ぐぅううう! ……どういうことだ? 俺は質問してないぞ」

質問者「どこからどう見たって、私は可愛い女の子じゃないですか」

回答者「いや、でもふくら……」

質問者「はい、アウト」

回答者「ぐぁぁああああ!」

質問者「では次の質問です。私の名前はなんでしょう?」

回答者「てめぇ、ふざけてんじゃねえぞ。そんなもん分かるわけないだろうが!」

質問者「いいえ、分かります。あなたは知っているはずです。私の名前を」

回答者「はぁ?」

質問者「知っているんですよ。あなたは私のことを」

回答者「何を言ってるんだ?俺はてめぇ何か知らないぞ。訳の分からないことを言ってんじゃねぇ」

質問者「……はい、アウト」

回答者「がぁ!」

質問者「では次、ここは一体どこでしょう?」

回答者「て、てめえ、何なんだよ。何がしたいんだよ」

質問者「質問に早く答えてください。でないと」

回答者「分かったよ。(たくさんのぬいぐるみが置いてある。部屋の奥には暖炉が。女の側にある引き出しの上には写真立て。なぜか伏せられている。だめだ、ここがどこだかさっぱり分からない。一体ここは”誰”の部屋なんだ?)」

質問者「まだですか?」

回答者「(ちっ、仕方ねえ。とりあえず何か言わないと)……て、てめえの部屋……?」

質問者「……お見事、正解です」

回答者「えっ?」

質問者「分かって答えたわけではないのですか?」

回答者「いやいや分かったら答えたんだよ(電流はもう食らいたくねぇ)」

質問者「そうですか」

回答者「(なんで嬉しそうに笑ってやがる?)」

質問者「では次の質問です」

回答者「いつまで続くんだよ」

質問者「すぐに終わりますよ」

回答者「……」

質問者「では――あなたの”名前”はなんでしょう?」

回答者「はぁ? 何だその質問は? そんなの……」

質問者「どうしたんですか? あなたの名前ですよ。すぐに答えられるはずでしょう」

回答者「(俺は、俺は、俺は……誰だ? 俺は一体誰だ? 何なんだよ。一体何がどうなってるんだ? なぜ思い出せない自分の名前が? いやそれ以前に、俺はこいつに連れ去られる前、一体何をしていたんだ?)」

質問者「やはり覚えていませんか」

回答者「やはり……? やはりって何だ? 何か知ってるのか? 知ってるなら答えろよ! 俺は一体”何”なんだ!」

質問者「言ったでしょう。あなたは答えるだけでいいと、質問する権利はありません。あなたは黙って現状を受け入れるしかないんですよ」

回答者「ふざけるな。ふざけるんじゃねぇえ! 答えろ答えろ答えろよ!」

質問者「分からないならアウトです」

回答者「がっ、がぁぁあああ!」

質問者「これで最後の質問です。私はあなたにとって、どういう存在でしょうか?」

回答者「はぁはぁ……くそったれ」

質問者「はい、アウト」

回答者「がぁ!(なんだこれは記憶?)」



レイナ「アキラ、アキラ、死んじゃだめです。約束したじゃないですか。ずっと一緒にいるって、私を幸せにしてくれるって、約束したじゃないですかぁ!」

母「レイナ! 止めなさい。アキラ君は……もう」

レイナ「あっ、あっ、ああああああ!」

母「止めなさい。レイナ! そんなことアキラ君は望んでいないわ。レイナ!」

レイナ「うるさい! 私の邪魔をするなぁ!」

母「ぐっ、レイナ?」

レイナ「あぁ、死にましたか。ちょうどいいですね。実験材料にしましょう。待っていてくださいねアキラ。必ず私がこの手で、あなたを生き返らせてみますから」



レイナ「どうしてうまくいかない。なぜ記憶が定着しないの。見た目はアキラなのに。私のことも自分のことも覚えてない。どうすれば魂を呼び寄せられる?」

レイナ「電気ショック療法を試してみましょう。もしかしたら記憶が蘇るかもしれません。私とアキラの思い出の部屋も用意しましょう。アキラ、アキラ、もう一度」

レイナ「アキラ、目を覚ましてください。思い出してください私を。苦しいんです。すごく苦しいんです。私は多くの罪を犯しました。願いが叶わないなら、何のために手を血で汚したのか分かりません。私はあなたと同じところに行けはしないでしょうね。また実験のやり直しです」



回答者「あっ(レイ……)」

質問者「あなたはもう必要ありません。また失敗ですね。やはり……”人間”を作るのは難しい」