夏休みの宿題

小夜:
女子高生。渚とは腐れ縁。

渚:
女子高生。宿題は早めに終わらすタイプ。小夜とは腐れ縁。

清美:
女子高生。小夜と渚の友達。


小夜「諸君に集まってもらったのは他でもない。私の宿題を手伝ってもらいたいからだ」

渚「なんで小夜なんかの宿題を手伝わないといけないんだ?」

清美「せっかくの夏休みをなんで小夜なんかのために消費しなければならないんだ? ふざけるのは顔だけにしてもらいたい」

小夜「……おい、清美、それどういう意味だ? 私は学校で一番かわいいんだぞ? その言い方だとまるで私がかわいくないみたいじゃないか」

清美「よくもそこまで自分に自信を持てるな」

渚「そこまで自信があると引くな」

小夜「引くなよ。私たち友達だろ?」

渚「お前なんか友達じゃない。宿題を手伝わせようとしてる奴を友達と認められるわけないだろう」

小夜「宿題を手伝ってくれたら、好きなものをおごるよ」

渚「お前は最高の友達だよ、小夜!」

清美「安い友達だな、渚。おごってくれたら友達になるのかよ」

渚「おごってくれる人は誰でも友達になるかというとそういうわけじゃない。小夜とは腐れ縁だから友達になるんだ」

清美「腐れ縁じゃなければ友達にならないのかよ。良かったな、小夜。渚と腐れ縁で」

小夜「ああ、本当に良かった。腐れ縁じゃなければ、宿題を手伝ってもらえなかったところだ」

渚「それで小夜。宿題はどこまで出来ているんだ?」

小夜「ん? 一つもやっていない」

渚「嘘だろ? その顔で一つもやっていないなんてことがあるのか? 信じられん」

小夜「いや、顔は関係ないだろ。確かに私はかわいいが、だからといって宿題をやるわけじゃない」

渚「いや、そういうことじゃなくてだな。宿題をやりそうな顔ということだ。顔がかわいいとかじゃない。確かにかわいいとは思うけれど」

小夜「宿題をやりそうな顔ってなんだよ。どんな顔だよ、それ。かわいいと思ってくれていることは誠に嬉しいけれど」

清美「もうお前ら付き合っちゃえよ」

小夜「……どうする?」

渚「どうしようか?」

清美「真剣に吟味してんじゃねえよ! 冗談で言ったのに」

渚「冗談で言っていいことと悪いことがあるぞ! それは悪いことだ」

小夜「渚の言うとおりだ! 罰として清美一人で宿題をやってもらうぞ!」

清美「絶対に断る!」

小夜「なぜだ? やれよ!」

清美「自分の宿題すらまだ終わってないのに、小夜の宿題まで手が回らねえよ!」

小夜「そうか、それはすまなかった」

清美「わかりゃいいんだよ。渚だってまだ終わってないだろ?」

渚「いや、私はもう終わらせた」

小夜「神だ。神が現れたぞ!」

清美「ああ、神が降臨なさった!」

渚「宿題を早めに終わらせたくらいで神扱いされるとは思わなかった」

小夜「ん? 待てよ」

清美「どうしたんだ? 小夜?」

小夜「絵日記はどうしたんだ? まさかそれも終わらせたわけじゃないよな?」

清美「そうだよ。絵日記は終わらせようと思ってもできないもんな。まだ夏休み終わってないし」

渚「絵日記も含めてすべて終わらせた」

小夜「どうやって絵日記を終わらせたんだ?」

渚「妄想で最後まで書いたんだ」

小夜「いいのか、それで? 妄想で絵日記はありなのか?」

渚「学校側にはそれが本当のことなのか妄想なのかはわからないんだから、妄想でも全然ありだと思う」

小夜「いや、それはそうなんだけど」

渚「絵日記の内容を疑ってかかり裏を取るような教師がいれば、そいつは生徒を心の底から信じていないことになる。そんな奴は教師に向いていない」

清美「わざわざ裏を取るような教師はいないと思うけどな。忙しいだろうし」

渚「確かに。もしそんな奴がいれば業務を怠っていることになる。業務を疎かにするほど人を信じられない人間ということだ」

小夜「そもそもそんな奴は教師になれないと思うけど」

渚「そうかもしれない。それで私は何の宿題をすればいいんだ?」

小夜「絵日記は妄想で書くとして、それ以外のをやってもらいたい」

渚「わかった。すぐに終わらせる」

清美「ついでと言ってはなんだが、私のも手伝ってくれないか?」

渚「断らせてもらう」

清美「小夜のは手伝ってなんで私のは手伝わないんだよ!」

渚「二人分の宿題をやるのはとてもキツい」

清美「そこを何とかお願いしますよ、お姫様!」

渚「わかった。清美の分の宿題もやろう」

清美「……へへ、チョロいぜ」

渚「小夜のだけ真剣にやって、清美のは適当にやろうっと」

清美「チョロいと言って本当に悪かった! 謝るから私のも真剣にやってくれ! もちろん私も手伝うから」

渚「清美が手伝うのはおかしい。私が手伝うのであって清美が手伝うのではない。清美の宿題を私がやるわけだから」

清美「ああ言えばこう言うんだもんな、渚は。なあ、小夜」

小夜「……海でナンパされたことにするか。一組だけじゃなく、何組からもナンパされたことにしたほうがいいかな」

清美「あれ、聞いてない? 私の話を聞けよ!」

渚「小夜は絵日記もとい妄想に忙しいんだ」

清美「なら私も絵日記もとい妄想に勤しむぜ! 爽やかイケメンに告白されたことにしようかな」

渚「なら私は二人分の宿題に勤しむとしよう」

担任「お前ら、何だこの絵日記は? 地球の平和を守るために宇宙人と戦った? 勇者になって魔王と戦った? 覚醒し悪の組織と戦った? ふざけるのも大概にしろ! 来週までに書き直し提出するように! いいな?」

小夜・渚・清美「は~い」