楽しい日々から…

ナナ:
23歳、演劇部OB。ニート。

ミユ:
23歳、ナナと同じく演劇部OB。事務員。

新井先生:
演劇部の顧問。


ミユ、スポットライトの下でマイクを持って立っている。

ミユ「ショートコント、授業中。」

ナナ「違う!ちがーう!!」

ミユ「えー!?何が?」

ナナ「もっと馬鹿らしく言うんだよ!ほらこうやって!」

ナナ、ミユのマイクを奪い取る。

ナナ「ショートコント、授業中。」

ミユ「いやいや!何が違うの!?同じじゃん!」

ナナ「かなり違うよ!声の抑揚が!ほら、ショートコ…」

ミユ「繰り返さなくていいから!」

新井先生、入ってくる。

新井先生「ミユさん、ナナさん、練習は順調ですか?」

ミユ「全然ですよぉ!ナナが変なとこでケチ付けて!」

ナナ「変なとこって何よ!大事なとこでしょう!もう一回!」

ミユ「あぁ…何でこんなことしてるんだろ…。」

・・・

ミユの回想。

ミユ「あー、最近SNS更新してないなぁ。辞めようかな…あれ?友達希望来てる。ナナじゃん!!うわー!懐かしい!許可しよー!」

・・・

ミユとナナ、カフェにいる。

ミユ「いやー!久しぶりだよね本当!」

ナナ「本当だね!可愛くなっちゃってびっくりしたよ!仕事は何してるの?」

ミユ「事務員してるんだ!ナナは?」

ナナ「販売してたんだけど…辞めちゃって今はニート…。」

ミユ「そうだったんだ!辞めちゃったって何かあったの?」

ナナ「いや、実は劇団員をしたくて…。」

ミユ「へ?劇団?」

ナナ「うん。高校の時に演じたのが忘れられなくてさ…。」

ミユ「それでか!あの時は楽しかったよね!確かにナナ、凄く生き生きしてたし!」

ナナ「またあの感覚を味わいたくてさー…。」

ミユ「じゃあ専門学校とか入るの?」

ナナ「考えてるよ!ただね…。その前にやりたいことがあるんだ。」

ミユ「ん?何?」

ナナ「ミユと演劇をしたいの!いつも練習してた高校のホールで!」

ミユ「え?何でまた?」

ナナ「いや…楽しかった思い出を振り返りたくて…。」

ミユ「うーん…私は休みの日しか練習出来ないけど、面白そうだね!」

ナナ「やってくれるの!?」

ミユ「もちろん!ただ、高校のホール、借りられるかなぁ?新井先生、まだいるといいんだけど。」

ナナ「まだいるし、当日は貸してくれるって!」

ミユ「話しついてるの!?」

ナナ「うん!やりたいって思った日にすぐ電話した。」

ミユ「すごい行動力ね…。」

・・・

ミユとナナ、制服を着ている。

ナナ「うわ!まだ高校生で通用するよねこれ!」

ミユ「ちょっと恥ずかしいなぁ…。」

新井先生「まだまだ現役だねー!違和感ないよ!明日の本番、頑張ってよね!」

ミユ「ありがとうございます!頑張らないと!ね!ナナ!」

ナナ「うん…。」

ミユ「どうかした?」

ナナ「ううん!何でもないよ!」

新井先生「明日頑張ってもらわなきゃだから先生、何か奢るよ!」

ミユ「え!?本当!?」

ナナ「やった!じゃあ駅前のラーメン屋がいい!」

ミユ「賛成!あそこのラーメン美味しいんだよね!」

新井先生「私は食べ飽きたくらいだけど二人が食べたいなら仕方ないね!じゃあ行こうか!」

暗転、本番前リハーサル中

ミユ、スポットライトの下でマイクを持っている。

ミユ「8月、進路。」

ナナと新井先生、机に座っている。

ナナ「私!服の販売員がしたいんです!それでデザイナーになりたくて!」

新井先生「いいじゃない!ナナさんならこの専門学校は間違いなく入れると思うわ!」

ナナ「ありがとうございます!頑張らないと!」

・・・

5年後のナナがいる。

ナナ「あーあ、辞めちゃった。でもいいんだ!私は劇団員になりたいんだから!…でも本当は…続けていたかったな…。」

ミユ「(あれ…?そんなセリフあったかな?) 」

ナナ「本当は…デザイナーになりたかった。でも、いじめが酷くて病んで辞めちゃった。」

ミユ「(ナナ!?)」

新井先生「(待ってミユさん!見てましょう…。)」

ナナ「劇団員になりたいなんて嘘。ただ、楽しかった高校時代に戻りたかっただけだった。もう、こんなことで夢を諦めた私はデザイナーにはなれない。毎日毎日、精神安定剤を飲み続ける日々、死んじゃおうって思ってた。」

ミユ「ナナ!!」

ナナ「ミユ…嘘ついてごめんね…。私、この劇が終わったら…死のうって思ってたの…。」

新井先生「何を言ってるの!!」

新井先生、ナナを叩く。

新井先生「確かに精神病むほどのイジメをするなんて、そんなの明らかにその人たちがおかしいわ!でもね、死ぬほどじゃないわよね!?あなた、まだまだ未来があるのよ!?」

ナナ「だって…ずっとずっと夢だったデザイナーをこんな簡単に諦めちゃうなんて…。私…。」

新井先生「時には諦めなくてはいけない時もあるのよ!そうやって人間は成長するの!また、探せばいいじゃない!」

ミユ「ナナ…、そんなに悩んでたなんて…。」

ナナ「私なんかに…なれるのかなぁ…。」

ミユ「なれるよ!頑張ろうよナナ!」

新井先生「そうよ!今日のこの公演が終わったら、一歩踏み出しなさい!あなたは一人じゃない!」

ナナ「新井先生…ミユ…ありがとう…。私、また頑張ってみるよ。」

・・・

本番中

ミユ「ショートコント、授業中」

新井先生「では、この利益は一致しましたからこれが正解です。」

ナナ「はぁ!?利益がエッチ!?」

新井先生「違うわよ!」

会場から笑いが起きる。

ミユ「楽しい高校時代はあっという間でした。私たちは卒業して5年が経ちますが、またこんな馬鹿で笑いあってた頃に戻りたいという気持ちから、この公演をしました。たまには楽しい頃に戻るのもいいと思うのです。そして、今の自分を見直せるいい機会にもなるのですから。」

会場から拍手。

・・・

5年後。

ミユとナナ、カフェにいる。

ナナ「お待たせ?!」

ミユ「遅ーい!あ、そのワンピース!最近流行りのやつでしょ!?ナナがデザインした!」

ナナ「へへーん!その通りよ!まさかここまで流行するとは思わなかったよ!」

ミユ「無事にデザイナーになれてよかったね!私もクビになっちゃったから何か考えないとなー。」

ナナ「自分を見直すためにまた演劇やっちゃう?」

ミユ「やっちゃおっか!次は私の番!」

ナナ「応援するよ!新井先生に電話しよ!」