冬弥の宇宙人研究

冬弥:
研究者。美沙の叔父。

美沙:
女子高生。冬弥の姪っ子。

宇宙人:
地球外生命体。


冬弥「こ、これは宇宙人だ!」

美沙「宇宙人? 何を言ってるんですか? 何らかの動物の死骸でしょう?」

冬弥「俺は35年生きているが、こんな姿をした動物は見たことがない。よってこれは宇宙人だ」

美沙「だからといって宇宙人とは限らないでしょう? もしかしたら、新種の生物の死骸かもしれないですよ?」

冬弥「いや、これは新種の生物なんかじゃない。間違いなく宇宙人だ」

美沙「なんでそう思うんですか?」

冬弥「勘だ!」

美沙「……おりゃ!」

冬弥「ぶ、ぶちやがったな! 恐竜にもぶたれたことないのに!」

美沙「全人類そうですよ! まあ、私はぶたれたことありますけどね」

冬弥「え? 嘘だろ? 恐竜にぶたれたなんて」

美沙「嘘じゃありません。本当ですよ」

冬弥「いつ、どこでぶたれたんだ?」

美沙「一昨日、夢の中でぶたれましたよ。とても恐ろしかったです」

冬弥「なんだ、夢の話か。しょうもない」

美沙「しょうもないって何ですか! そんなこと言わないでくださいよ。実際にぶたれた人なんていないんですからね」

冬弥「そんなことより、この宇宙人だ」

美沙「そんなことで片づけないでくださいよ! まあ、いいですけど」

冬弥「いいのかよ」

美沙「そんなことよりもまだ宇宙人だと思ってるんですか? 勘で宇宙人と決めつけるのはどうかと思いますよ」

冬弥「……実は勘じゃないんだ」

美沙「え? 勘じゃない? それってつまり宇宙人だという証拠があるということですか?」

冬弥「そういうことだ」

美沙「その証拠っていったい何ですか?」

冬弥「DNAだ」

美沙「DNA? どういうことですか?」

冬弥「こいつのDNAの塩基を調べたんだが、ATGCじゃなかったんだ」

美沙「ATGCじゃない? それは本当ですか?」

冬弥「ああ、本当だ。そんなことで嘘つくわけないだろ。理由はそれだけじゃない」

美沙「他にどんな理由があるんですか?」

冬弥「地球に存在しないはずの分子が数種類含まれていた。このことからこいつは宇宙人だと考えられる」

美沙「そ、そんな宇宙人が実在していたなんて」

冬弥「こいつを徹底的に調べる必要があるな」

美沙「いつ宇宙人が地球を侵略しに来るかわかりませんもんね」

冬弥「ああ、こいつについて何も知らなければ、もし攻め込まれたときに応戦できない可能性がある。しかし、こいつの弱点を発見できれば、攻め込まれても応戦できるかもしれない。うまくいけば地球から追い出すこともできるだろう」

美沙「それでは研究を頑張ってくださいね、冬弥さん。私はその間、遊びまくるので。明日はどこに遊びに行こうかな?」

冬弥「お前も手伝えよ! 何自分だけラクをしようとしてんだ! そうはいかないぞ!」

美沙「何を言ってるんですか? 私は助手でもなんでもないんですよ! 私は冬弥さんの姪っ子なんですよ。姪っ子の時間を奪おうとするなんて! お母さんに言いますからね!」

冬弥「姉貴は今関係ないだろ! 絶対に言うなよ! いいか絶対に言うんじゃないぞ!」

美沙「う~ん、どっちだ?」

冬弥「いや、違うから。言ってもいいパターンじゃないから。本当にダメなやつだから」

美沙「わかりましたよ、お母さんには言いません。ですが、私に手伝えることってあるんですか?」

冬弥「体を調べている時に汗が出てきたら、ハンカチで拭いてくれるだけでいいんだ」

美沙「それ、私じゃなくても良くないですか? 私じゃないといけない理由はあるんですか?」

冬弥「いや、ないけど。ただ俺は一人も友達いないからな。美沙以外に頼める奴がいないんだよ」

美沙「なるほど、わかりました。汗を拭くくらいなら私でも出来ますし、冬弥さんを手伝いますよ」

冬弥「そうしてくれ。では早速こいつの体を調べるぞ」

美沙「はい、冬弥さん」

冬弥「メス」

美沙「え? メスってそんな冬弥さん」

冬弥「何で頬を赤らめてるんだ?」

美沙「だって冬弥さんがメスなんて言うから! 私たち姪と叔父なんですよ?」

冬弥「お前は何を勘違いしてるんだ? 俺はそれを取ってくれと言ってるんだ」

美沙「え? あ、これのことですか? それならそうと言ってくださいよ」

冬弥「俺は言ったつもりなんだけどな。まさかメスで通じないとはな」

美沙「イントネーションが悪かったんじゃないですか?」

冬弥「俺が悪いのか?」

美沙「いえ、勘違いした私が悪うございます」

冬弥「まずはお腹を切って中を見てみよう」

美沙「ま、待ってください、冬弥さん!」

冬弥「どうしたんだ? 急に大声を出して」

美沙「い、今こいつ動きましたよ!」

冬弥「は? そんなわけないだろ。死んだことは確認ず……う、動いてやがる!」

美沙「だから、言ったじゃないですか!」

冬弥「まさか仮死状態になっていたというのか?」

美沙「そんなことできるんですか、この宇宙人?」

宇宙人「う、宇宙人だ! しかも二人! 怖いよ~!」

美沙「え? 何を言ってるんですか? 宇宙人はそっちじゃないですか!」

冬弥「なるほど、そういうことか」

美沙「え? 何がなるほどなんですか?」

冬弥「こいつは別の惑星から地球に来ている。つまり、こいつからすれば俺たち人間が宇宙人になるんだよ」

美沙「なるほど、言われてみればそうですね」

宇宙人「俺のUFOどこにあるの? 早く帰りたいよ!」

冬弥「しかし、これほどまでに怖がりだとはな。地球がこいつらに侵略されることはなさそうだな」

美沙「仮に攻めてきても、この宇宙人なら勝てそうですよね」

宇宙人「うわぁ~ん!」