魔王様と勇者殿 03

魔王セクサアザール二世:
世襲制で魔王になったものの、次世代になった事が人間達に知られていないため、父親時代の脅威が未だに世にはびこっている。
勇者レクレスに目をつけられ、討伐対象にされるが、なんとか穏便に帰ってもらおうと画策する。
性格はスケベで根性なし・痛い思いをするような争いを嫌う。
名前は、ガルシア語で「運が悪い」の意。

側近クレイ・ケク:
アルバニア語で「頭が悪い」の意。
先代から魔王の参謀をしているキングゾンビ。
その高い頭脳も評価され参謀として長年活躍してきたが、経年劣化で脳の腐敗が進んでおり、現在ではシナプスの繋がりにやや問題が見られる。

勇者レクレス(男):
街の人々からバックアップを受けて、魔王打倒のために魔城に潜入する。
しかし、彼もまた根性なし+命の危険を伴う闘いは避けたいという性格。
物事をあまり深く考えないタイプでもある。
名前は、英語及び西フリジア語で「無謀」の意。

魔道師ルクス・アライン(女):
勇者レクレスの補佐として同行している女性魔道師。
惜しげもなく大胆に露出したHカップの巨乳が魅力だが、逆に言うとそれだけしか能がなく、普段は殆ど何も考えていない。
名前は、西フリジア語で「見た目だけ」の意。


ここは魔城地下二階・謁見の間。
魔王セクサアザール二世と勇者レクレスは、最後の対決の場面を迎えていた。

勇者「うい~、ごっそさん!ありがとうな!HPも回復したし、あらためてやるか!」

魔王「この程度でHP回復とは、どこぞの吸血鬼の御曹司みたいに安直な体質だのう」

勇者「余計なお世話だ!勇者はな、食い物を口に入れた瞬間に傷が治るもんだ!」

魔王「そう聞くと、この上なく便利な体質だな。――まあ良い、勇者よ。実はお前に、折り入って頼みがある」

勇者「この期に及んで命乞いか?!」

巨乳「見苦しい真似は、およしなさぁい♪」(ブルンッ!!)

側近「静聴するが良い!人間の勇者共よ!!」

魔王「もういっそ、闘うの、やめないか」

勇者「な、何だと?!」

魔王「お前も、実は結構ボロボロであろう?余も、無駄な闘いで怪我するなんて、馬鹿馬鹿しい真似はしたくない。ここは一つ、何事もなかったことにして手打ちとせぬか?」

巨乳「なんだぁ、世界の半分をくれるとか、そんな話かと思ったわぁ」(ブルンッ!!)

勇者「無駄とは何だ!俺達はだな、人間の平和を守るために、ここまで――」

魔王「お前らが倒そうとしていたのは、余の父親だ。余は、二代目魔王である」

巨乳「魔王には違いないじゃないのぉ!」(ブルンッ!!)

側近「そこな女!おぬしはいちいちその乳を揺すらんと、喋れぬのか!」

巨乳「ルクスよぉ、ル・ク・ス・ア・ラ・イ・ン♪だってぇ、しょうがないじゃなぁい。Hカップもあるんだもぉん♪」(ブルンッ!!)

魔王「……え、えぃちかっぷ……」

勇者「おい、前屈み!」

側近「魔王様!魔王様っ!!よだれをお拭きくだされ、はしたのうございますぞ!!」

魔王「お、おぅ……!」

勇者「そういうなら、お前の父親をとっとと出せよ!」

魔王「父は一年半前に死んだ。よって、もうお前が倒すことは出来ぬ」

勇者「ま、魔王が死んだ!?だ、誰に倒されたんだ?!」

魔王「河豚」

勇者「ふ……フグぅ?!」

魔王「お昼のグルメ番組観ててな、急に、下関のトラフグが食いたいと言いだしての。苦労して買って来てやったら、それを丸ごと呑み込んでしもうて……」

側近「しかも今際の言葉が“思ったより美味くない”でしたな」

勇者「そりゃあ、丸呑みしたら美味いも何もないだろ」

巨乳「フグ毒って、魔王にも効くんだぁ……」(ブルンッ!!)

勇者「そ、それはともかくだな!魔王を倒さないと!お前らに脅かされてる街の人々の安心が――」

魔王「だから、話をせんかと言うておる。まあ聞け、悪いようにはせん」

勇者「……」

魔王は、勇者を招き寄せ、何やら小声で密談を始めた。
だいたい十数分ほど過ぎた頃、二人は邪悪な笑みを浮かべ、ガッシリと握手を交わした。

魔王「――つまり、私はお前に倒されたことにする」

勇者「そして俺は、お前と相討ちになって死んだことにする」

魔王「その通りだ。私はこの地下二階に引き篭もっておれば良い」

勇者「俺は、ここからこっそり逃げ出せばいいって寸法か。でも、俺のメリットは何だ?」

魔王「ここまでに手に入れたお宝を売れば良かろう?お前がこの城で手に入れた分だけでも、売れば一生遊んで暮らせるくらいにはなる」

勇者「もうちょっと、なんかくれよ」

魔王「しょうがないなぁ。じゃあ、その玉座に飾られてる宝珠でも持っていけ」

巨乳「まぁ♪なんて素敵な提案なんでしょう☆これ、黒ダイヤよ!何カラットあるのかしらぁ♪あぁ~ん、魔王様ぁ!素敵よぉ♪」(ブルンッ!!)

勇者「で、この回復魔法も使えない、乳と尻と太股だけの役立たずは、お前に譲るということで」

巨乳「マジで!」(ブルンッ!!)

魔王「勇者よ、もう一個宝珠、いるか?」

側近「いいのかなぁ、こんなので……」

魔王「いいんだよ、うちの城は、これからクリーンなイメージにすんだから」

勇者「どうやったら、魔王の城がクリーンなイメージになるんだよ!?」

その後、交渉成立した魔王と勇者は、互いの条件に満足し、早速工作を始めた。
勇者は街の人々に気付かれぬよう、こっそり魔城を抜け出し、魔王は地下に引き篭もり、巨乳は魔王に捧げられた。

街では、勇者が魔王と差し違え、撃退に成功したという噂が流れ、人々にようやく平和の時が訪れた。

――と、思われたが。

街人A「なんで、魔王の城は、崩れないんだ?」

街人B「そうだよな!魔王が死んだなら、普通は城も崩れるもんだろ!」

街人C「俺も、なんかおかしいと思ったんだ」

街人D「もしかして、勇者様――いや勇者の野郎、魔王にやられたか、逃げたんじゃねぇのか?」

街人E「いや待て!勇者様のことだ、きっと魔王を退治したに違いないよ!確かめに行こうじゃないか!」

街人B「面倒くせぇ!んな事やってられるかってんだ!!」

街の人々「「「 そうだそうだ――!!! 」」」

その頃、魔城地下二階。

新側近「魔王さまぁ、街の人間達がぁ、大勢こっちに渡って参りますわぁ」(ブルンッ!!)

魔王「な、なんだと?!例の噂は、ちゃんと流した筈であろう?!」

新側近「その筈なんですけどぉ、ど~しちゃったのかしらぁ?」(ブルンッ!!)

魔王「クレイ!クレイ・ケクはどこだ!」

新側近「魔王様ぁ、先輩はぁ、今朝脳ミソが全部腐っちゃってぇ、動かなくなっちゃってましたよぉ?」(ブルンッ!!)

魔王「なんということだ!――まあ、200年もキングゾンビなんてやってりゃ、脳も腐ってとろけるか」

新側近「ですからぁ、愛人兼側近のぉ、私がいるじゃありませんかぁ♪」(ブルンッ!!)

魔王「(でもこいつ、勇者の言う通り、マジで身体しかイイとこねーんだよな……)」

と、突然大きく揺れだす謁見の間。
天井から、細かな石片が降り注ぐ。

――ド・ド・ドオォォォン!!

――ド・ド・ドオォォォン!!

魔王「うわぁ!何事だ!おい側近!被害状況を調べろ!」

新側近「えぇー、あたしぃ、マイコンとかぜぇんぜんわかんなくってぇ」(ブルンッ!!)

魔王「今時マイコンはねぇだろ!!つうか、うわぁ!爆弾だコレー!!」

――ド・ド・ドオォォォン!!

――ド・ド・ドオォォォン!!

街人「ぶっ壊せ――!!」

――ド・ド・ドオォォォン!!

――ド・ド・ドオォォォン!!

街人「爆弾もっと撃ち込め――!!徹底的にぶっ壊せぇ!!」

――ド・ド・ドオォォォン!!

――ド・ド・ドオォォォン!!

街人F「最初からこうすりゃ良かったんじゃねぇか?船で海峡渡ってよぉ、大砲で爆弾撃ち込みゃあ、簡単じゃねぇか」

街人G「勇者なんか、最初から要らなかったな!」

――ド・ド・ドオォォォン!!

――ド・ド・ドオォォォン!!

魔王「うわぁ!なんでこうなるんだぁ!!側近、側近!どこ行ったぁ?!」

新側近「た、助けてぇ!私、魔王に捕らわれていたんですぅ~!!」(ブルンッ!!)

街人H「おお!あの巨乳の魔道師さん!無事だったか!おのれ、魔王め許せねぇぜ!!一気にトドメだぁ!!」

街の人々「「「オオ―-ッ!!」」」

――ド・ド・ドオォォォン!!

魔王「うっきゃあぁぁぁぁ―――!!」

こうして、魔王セクサアザール二世は滅び、魔族の拠点であった魔城は崩壊した。
街の人々は本物の平和を取り戻し、勇者は莫大な報酬を得て遠方で何不自由なく暮らしましたとさ。

めでたしめでたし。

魔王「めでたし――じゃねぇだろ、こんちくしょう!!くっそぉ!よっくもやりやがったなぁ!人間共よ、必ず復讐してやるぞ!覚えていろぉ!!特に巨乳!」

エンディング後の隠しイベントは、まだしばらく続きそうである。