透明人間になりたーい!

博士:
自称天才の男

助手:
すぐに手が出る気性の荒さ


博士「ようやく完成した。苦節十年、長かった。オレの夢はようやく叶う。素晴らしい、素晴らしいぞ!ははははっ!」

助手「おいこら変態。聞いてた話と随分違うじゃねえか?」

博士「あん?勝手にお前が勘違いしただけだろ。オレに責任は微塵たりともない」

助手「こんな奴のために私は助力したのか?」

博士「後悔したか?だが遅い。オレの夢はもう目前だ。誰にも止めることはできない」

助手「この変態が!」

博士「くくっ。変態で何が悪い。変態だからこそ透明人間になる薬を開発したんだぜ?変態じゃなかったら透明人間になろうとも思ってねぇ」

助手「くそー。皇帝ペンギンの育成をしていると思ったのに…」

博士「どう聞き間違えたら、透明人間が皇帝ペンギンになるんだ?」

助手「語感と字数は似てるだろ?勘違いしても不思議じゃない」

博士「液体を調合してる時点で違うって思わなかったのか?」

助手「液体から育てるものだとばかり…」

博士「お前バカだろ」

助手「変態にだけは言われたくない!」

博士「オレは変態なだけでなく天才でもあるんだぜ?バカの叫びなど届かんなぁ」

助手「むかつく、すげえむかつく」

博士「周囲と分かり合えないのも…天才というものさ」

助手「だめだこいつ」

博士「何とでも言うがいい。オレはこれから戦場に行かなければならないからな」

助手「女湯に侵入しに行くだけだろ」

博士「侵入?はっ、これだからバカは。オレは堂々と正面から入るのさ」

助手「透明人間になろうとしてる時点で堂々じゃないだろ」

博士「バカだな。普通に入ったら捕まるじゃないか」

助手「いや、そもそも入ったらダメだからな」

博士「天才のオレに凡才のルールは通用しない!」

助手「こいつ、ただのヤバいやつだ」

博士「オレは止まらない!…ゴク」

助手「飲みやがった!!」

博士「感じる、感じるぞ。体の変化を」

助手「おい、お前、透明じゃなくて緑色になってるんだけど」

博士「えっ?」

助手「えっ?じゃなくて緑色になってるぞ」

博士「…なんだこの気持ち悪い色は!?」

助手「開発失敗ってことか。良かった。私の助力のせいで被害者が出なくて」

博士「オレは天才のはずだ!失敗するはずがない!?」

助手「お前いわく、私は””バカ””なんだろう?だったら私が手伝ったのが原因じゃないのか?」

博士「なるほど…お前のせいか。オレの夢をよくも邪魔したな。許さない」

助手「叶わなくても良い夢だ。諦めろ」

博士「……」

助手「どうした?諦めきれないのか?どれだけ変態なんだよお前は」

博士「……」

助手「なんだよ?そんなにムカついたか?」

博士「…アァ、ア、アッ、ア」

助手「…おーい、お前マジでどうした?」

博士「アァアー!」

助手「うお、危な!」

博士「アァァ」

助手「なんだ急に…はっ?緑色…アァァ、まさかゾンビに?」

博士「はい、そうです私がゾンビです」

助手「ふん!」

博士「痛い!」

助手「ふざけるなよお前、マジでビックリしたじゃないか」

博士「一番驚いてるのはオレだと思うが」

助手「まぁ、全身緑だしな。普通に気持ち悪い」

博士「透明になるどころか、目立つ男になっちまった」

助手「女湯に侵入する前に通報されるだろうな」

博士「つうか、これどうやったら戻るんだ?」

助手「元に戻る薬は作らなかったのか?」

博士「透明人間のまま、変態暮らしを満喫するつもりだったから作ってない」

助手「このままだと人間の暮らしすらままならないぞ」

博士「夢を叶えるどころの話じゃなくなってきたな」

助手「まぁ、頑張れ。私には関係ない。じゃあな」

博士「待てやこら。普通、この状態のオレを放置するか?」

助手「私は””普通””じゃなくて””バカ””だから。普通のルールは適用されない。じゃあな」

博士「これだからバカは嫌い!」

助手「安心しろ。私もお前が嫌いだ」

博士「でも女は好き、大好き、超愛してる。だから見せて?」

助手「うん…なんて言うわけないだろ!」

博士「分かってるが、この際お前で我慢しようかなぁと」

助手「あぁ?我慢ってどういうつもりだ?」

博士「オレは女が好きなんだ。でもお前って女だけど性格は男だろ?見た目も女っぽくないし、はっきり言ってタイプじゃない。だけど今のオレの姿じゃ夢を叶えることはできそうにない。だからお前で妥協するしかねえなってことだ」

助手「ふん!」

博士「だから痛いって」

助手「私は正真正銘女だ!」

博士「分かってるよ。だからお願いしてるんじゃねえか」

助手「というかお前みたいな変態の願いを聞く女がいると思うか?」

博士「いたら奇跡だ」

助手「お前の状態がすでに奇跡的だけどな」

博士「そいつは言わない約束だぜ」

助手「お前と約束した覚えはないけどな」

博士「減らず口を」

助手「お前にだけは言われたくない」

博士「何でもするから助けてくれよー。置いてかないでくれよー」

助手「…普通に肌色にペイントすれば万事解決では?」

博士「不自然極まりないだろ」

助手「不自然の塊が何を言うか?」

博士「どうしてこんなことに…」

助手「日頃の行いが悪いせいだ」

博士「心当たりが多すぎる」

助手「というかお前””天才””なんだろ?元に戻る薬を開発すればいいじゃねえか?」

博士「必要なものを揃えるに当たって、この格好は不便だと思わないか」

助手「私に必要なものを揃えてこいと?」

博士「助手なんだからそれぐらいしろよ?俺はまだお前を解雇したつもりはないぜ」

助手「高くつくぜ?」

博士「仕方ねえさ。元に戻るためだ」

助手「仕方ないな。手伝ってやる」

博士「完成した暁にはお前にも薬を」

助手「いらない。気持ち悪くなりたくない」

博士「…うん、オレだってなりたくないよ」

数ヵ月後

助手「あぁ、うんガンバ」

博士「また緑ー!!」