幼馴染ポイント制

ヒロト:
男子高校生。少女漫画やラノベが好きで幼馴染っぽいことを求めがち。

ゆっこ:
ヒロトと同じ学校に通う女子高生。ヒロトの幼馴染。


ヒロト:「もう八時前じゃん。遅刻しちゃう。ぎりぎり電車乗れた!もう何でゆっこ起こしてくれなかったの?」

ゆっこ:「いや、私も寝てたし。それにさ、私たちもう高校生だよ」

ヒロト:「何それ?もっと仲を進展させようってこと?」

ゆっこ:「ポジティブにとらえるなあ、ヒロトは。そうじゃなくて毎朝起こすとかさ、正直きついの」

ヒロト:「小学生の時はいつも起こしに来てくれたじゃん」

ゆっこ:「そりゃ、集団登校で私が班長だったからね。それから高校に至るまで同じことを求められるとは思わなかったよ」

ヒロト:「えー、倦怠期?何が嫌なの?」

ゆっこ:「付き合ってる風に言うなや。何ていうかさ、ヒロトって私に手作り弁当とか宿題の手伝いとかいろいろ求めるけど、私に得がないんだよね」

ヒロト:「さびしいこと言わないでよ。何?俺に対する愛情が無くなったの?」

ゆっこ:「いやさ、そりゃ長いこと一緒にいるから情はなくはないよ。もっとこう、お互いにメリットある関係にしたいんだよね」

ヒロト:「よくわかんないよー」

ゆっこ:「言ったそばから甘えんなや。鬱陶しい。こういうとこだよ」

ヒロト:「じゃあ具体的にどうすればいいの?」

ゆっこ:「それで考えたんだけど、幼馴染ポイント制を私たちの関係に導入しようと」

ヒロト:「何それ?」

ゆっこ:「お互いの行動を幼馴染の行動として評価しあってポイント化しようってこと」

ヒロト:「それ、ポイント貯めて何の意味があるの?」

ゆっこ:「例えばさ。あっ、ヒロト、口元に歯磨き粉ついてる。拭いてあげるからじっとして」

ヒロト:「急いでたから、えへへ」

ゆっこ:「何点?」

ヒロト:「はい?」

ゆっこ:「今の私の行動、五点満点で何点?」

ヒロト:「三くらいかな。幼馴染なら玄関で気づいてほしいし」

ゆっこ:「そうですか」

ヒロト:「え?何で急に敬語になった?若干距離も離れたし」

ゆっこ:「ヒロトさん。リアルな高校生の幼馴染の距離感なんてこんなもんですよ。ちかくに住んでるだけで、そんないつまでも仲良くはしませんよ」

ヒロト:「いや、今の今まで仲良くしてたでしょ。そりゃ俺が頼りっぱなしだかもだけど。何で急に冷たく?」

ゆっこ:「ポイントが足りません」

ヒロト:「え?今、始めたばっかりでしょ幼馴染ポイント制。俺、同意もしてないけど」

ゆっこ:「今までの私の幼馴染としての尽くしっぷりを鑑みるに、累積ポイントの導入が公平だと判断しました」

ヒロト:「俺の今までの幼馴染としての尽くしが足りなかったから、幼馴染としての行動はしてくれないってこと?」

ゆっこ:「イグザクトリー!」

ヒロト:「それでゆっこの累積ポイントはどれくらいなの?」

ゆっこ:「毎朝起こすのが2.5点と判断しても、それを5年生から5年間。ヒロトの累積ポイントを差し引いても、残り2500点くらいでしょうか」

ヒロト:「それ挽回無理じゃね?頑張るけど、えっと、ゆっこ、口元に」

ゆっこ:「何もついてないですよ。女子高生なもんで鏡チェックしてますし」

ヒロト:「産毛生えてるよ」

ゆっこ:「言うなしー!女子高生に口元の産毛のこと言うなしー!絶賛悩み中なんですから!」

ヒロト:「でも言わないより、言う方が幼馴染っぽくない?」

ゆっこ:「うーん、おまけして1点。朝からテンション下がったわー」

ヒロト:「今度、姉さんに脱毛方法聞いとくよ。なんかそれ用のマシーンとかワックスとか持ってたから」

ゆっこ:「マジ頼みますわ。5点!」

ヒロト:「あと2494点か。厳しいわー。そういえば髪切った?」

ゆっこ:「切ったの一昨日です」

ヒロト:「似合ってんなと思ったけど言えなくて」

ゆっこ:「気持ち悪い!甘えんな。2点」

ヒロト:「ひどいな。どういうことしたら幼馴染ポイントが高得点になるのかわからん」

ゆっこ:「こう自然な距離感の幼馴染と申しますか」

ヒロト:「じゃあ、ゆっこの中のベスト幼馴染って誰たちなの?」

ゆっこ:「うーん、金さん銀さんかな」

ヒロト:「双子じゃん。古いし!」

ゆっこ:「でも双子って一番わかりあってる幼馴染じゃないですか?」

ヒロト:「まあ生まれたときから一緒だしね」

ゆっこ:「一緒に長生きして、一緒にCDデビューもしましたしね」

ヒロト:「地味に詳しいな。金さん銀さん博士か!」

ゆっこ:「軽快なツッコミ、2ポイント!願わくば、もう少し泳がせて金さん銀さん情報引き出してからのノリツッコミがよかった」

ヒロト:「お笑いにも厳しいな、ゆっこは。それじゃあ、なんか最近困ったこととかある?」

ゆっこ:「近所に住んでいる同級生から毎朝起こしてくれと恫喝まがいのことをされていて」

ヒロト:「いや、してないし。それ以外でなんかないの?」

ゆっこ:「急に言われましても」

ヒロト:「ふーん、じゃあお願いなんだけどさ。結婚しない?」

ゆっこ:「はあ?何言ってんのよ。私たち付き合ってないし、だいたい私もあんたも」

ヒロト:「何?」

ゆっこ:「あんたわかってて言ってんの?」

ヒロト:「もちろん、俺もゆっこも結婚できる歳じゃない。そしてゆっこの誕生日は来週でしょ」

ゆっこ:「いつ気づいたの?」

ヒロト:「このタイミングでポイント制ってなんだと思ったし、起こしにきてくれた年月とか、一緒に生まれた金さん銀さんとかヒントがあったしね」

ゆっこ:「誕生日前日くらいに気づいて累積ポイント分のプレゼントもらえるかなと思ったんだけど」

ヒロト:「じゃあ婚約指輪とかあげよっか」

ゆっこ:「まだいらねえわ」