エイ子とエイ蔵の地球侵略

エイ蔵:
侵略者の調査員

エイ子:
侵略者の調査員

先生:
只者ではない雰囲気の持ち主

ヒカル:
周囲から中二病と思われているが


我々は地球を侵略するため、地球のことについて学び、潜入調査をしている真っ最中だ。我ら二人は高校生くらいの子供として、別々の家族の元へ潜入し、たびたび集まっては調査結果を報告しあっている。

エイ蔵「おい、地球人ってやべえぞ。俺、この前””父””と呼ばれる存在が寝ていたから、テレビを消そうとしたんだ。そしたらさまだ見ているだろと言ってきたんだ。あいつら目をつぶってるのにテレビが見えてるんだぜ。しかも俺が消そうとした気配まで察知しやがった。あいつら目をつぶっても周りの状況が見えてやがるんだ。恐ろしい」

エイ子「あなたもなの? 私もこの前、””扇風機””と呼ばれる風力発生装置を使っていたときに、””姉””が扇風機に向かって突然『ワレワレハウチュウジンダ』なんて言い出したの。しかも私に向かってニヤニヤと笑いながら『ワレワレハウチュウジンダ』と言えって言ってきたの。間違いなく彼女は気づいてる私の正体に。恐ろしい」

エイ蔵「学ぶだけで十分だと思ってたが、それは間違いだ。潜入調査をしなかったら、あいつらの恐ろしさは分からなかった。侵略するときは気をつけないとな」

エイ子「そうね。あなたも気をつけてね。正体がバレないように。私もなんとか誤魔化すから」

エイ蔵「あぁ、また明日」

——翌日、学校

私とエイ蔵は同じ高校の同じクラスに通っている。地球人は恐ろしい。一人では心もとないから、なるべく二人で行動することになった。

先生「——山田、寝るな」

な、なんだって! あの男、黒板の方を向いているのにこちらの状況に気づいた。どうして……ま、まさか後ろに目があるとでも言うの!

私はエイ蔵と視線を交わす。地球人の視界は一体どこまで広がっているのか。この謎を解明しない限りは我々に勝ち目はないかもしれない。

先生「——エイ蔵、余所見をするな!」

ヒュンッ。空気を切り裂く鋭い音。””チョーク””と呼ばれる物体が吸い込まれるようにエイ蔵に当たった。

エイ蔵「ぐわっ!」

私は思わず立ち上がる。何なのだこの男は。ほとんど後ろを見ずに正確に当てるなんて。まさか、この男……間違いないスナイパーだ。地球の戦闘部隊を配置しているとは。エイ蔵を狙ったところを見るに、この男は気づいている。

先生「エイ子、座れ」

私は大人しく従った。スナイパーは正確無比な射撃を得意とする者だと習った。何キロ先の獲物を仕留めるとも。私の力では敵わないだろう。

エイ子「大丈夫エイ蔵?」

エイ蔵「なんとかな」

私はエイ蔵の赤くなった額に応急処置を施す。一撃で仕留めなかったことから考えると、恐らく小手調べといったところだろう。

エイ子「地球人って恐ろしいわね」

エイ蔵「あぁ。あの男は間違いなく戦闘部隊の一員だ。恐ろしい戦闘力だ。あれが何人もいるとなるとこちらも精鋭部隊を揃えないとな」

エイ子「えぇ。潜入調査して良かったわ。あれほどの力を持ったスナイパーがいると知らなかったら、私たち負けてたかもしれない」

ピンポンパンポーン。

チャイムの音が鳴ったので話は中断して、教室に戻ることにした。

先生「えー。答えが分かる奴は挙手」

シーン。誰も手を挙げない。緊張感が高まる。そのとき。

ヒカル「——みんな伏せろ!!」

耳を劈くような叫び。何がなんだか分からず、私は思わず伏せてしまう。

先生「ヒカル、突然叫ぶな。静かにしろ」

スナイパーは突然の叫び声にも冷静だった。この男、やはり只者ではない。

ヒカル「先生、なぜ分からないんだ! 地球は狙われてる。今も奴らは虎視眈々と侵略を企んでるんだ」

私は男の言葉に驚いた。我々の目的に気づいている奴がいるなんて! この男、一体何者だ。

ヒカル「いや、すでに奴らは地球に潜入している。今だって近くに潜んでいる。奴ら『クオーク』はいつだってすぐ側に」

クオーク? 我々はそんな名前ではない。まさか地球を狙っているのは我々だけではないのか! なんてことだ。急がないと先に奪われてしまう。

先生「はいはい。いいから黙って座ってろ」

ヒカル「なぜ分からないんだ」

男は悔しそうに座った。私は男の正体を見極めるために観察することに決めた。

・・・

エイ蔵「ヒカルだったか? あの男、俺たちの存在に気づいているな」

エイ子「えぇ、担任の先生も感づいているようだし、地球人って侮れないわ」

エイ蔵「しかも俺たち以外にも地球を侵略しようとしてる奴らがいるようだ。そいつらの情報も集めないとな」

エイ子「まずはヒカルに接触する」

エイ蔵「だな」

私たちは方針を決め、ヒカルに接触することにした。

エイ蔵「おい、ちょっと面貸せ」

ヒカル「——いいだろう」

エイ蔵「お前は一体何者だ」

ヒカル「俺は地球を守る秘密組織『レジスタンス』のエージェントだ。お前たちは『侵略者』だろう?」

やはりこの男、私たちが何者なのか気づいている。

生徒「ヒカル、転校生だからって中二病、炸裂するのやめなよ。レジスタンスなんてバカみたい。キミたちも鵜呑みにしないでよ、その男嘘ばっかだからさ」

エイ蔵・エイ子「えっ?」

嘘、嘘なの? ということは私たちの正体に気づいているわけではないのか。

安心した私たちはヒカルを置いて立ち去った。とりあえずあのスナイパーの対策を考えないと。

・・・

先生「ヒカル、どうだ」

ヒカル「えぇ、間違いないですね。『クオーク』ではなく『ウェルド』ですが」

先生「頼んだぞ」

ヒカル「お任せあれ」

『レジスタンス』のエース、ヒカルは地球を守るため、動き出す。エイ蔵とエイ子を抹殺するために。

こうして人知れず平和は守られるのであった。