わがままルナ姫と月子妃様

月子妃:
とある国のお妃様

大地王:
とある国の王様。月子の夫

星王子:
月子と大地の息子


昔々あるところに見た目はとても美しいが、それはそれは性格の悪いお姫様がおりました。

ルナ姫「はぁ~、今日も私は美しいわ。それに比べて民どもの醜いこと。私の美貌と比べたら、本当に月とスッポンだわ。よくあんな顔で表を歩けるわね。私だったら、恥ずかしくて人前になんて出られないわよ」

使用人A「ルナ姫様、今日もお美しいことで。さて、では食事の準備が整いましたので大広間の方へどうぞ」

ルナ姫「うるさいわね。言われなくてもわかってるわよ。すぐ行くからあっちへ行って!」

使用人A「かしこまりました。では」

・・・

ルナ姫「さてと、今日も一日私の美しさに磨きをかけようかしら」

使用人B「ルナ姫様、今日も大変お美しゅうございます。本日はこれから隣の国の王女様と会食がございます。今すぐそのご準備を」

ルナ姫「隣の? ああ、あの気に食わないルビー姫ね。あんな姫と一緒に食事だなんて気が進まないわね。きっとどれだけ豪勢な食事でも美味しく感じないわ、あんな姫と一緒じゃあね~」

使用人B「そんなことおっしゃらずに。これも隣国との和平を保つために必要なことなのです。ルナ姫様はいずれこの国の女王様となられるお方なのですから、近隣の国々の方々とは仲良くしていかなければなりません」

ルナ姫「うるさいわねぇ、そんなの言われなくたってわかってるわよ。あなた私に説教する気? いいわ、お父様に言いつけてあなたなんてクビにしてもらうから! もう、部屋から出てって!」

使用人B「いえ、説教をするだなんて滅相もありません。ただ私は……」

ルナ姫「うるさいって言ってるでしょ! 私は部屋を出ていけって言ったのよ、聞こえなかった?」

使用人B「す、すみません。では後ほど」

ルナ姫「ったく、どいつもこいつも鬱陶しいったら。本当嫌になっちゃうわ。お父様に言って使用人全部クビにしたいくらいだわ」

・・・

ルビー姫「ルナ姫様、ご機嫌麗しゅう。本日はお招きいただきましてありがとうございます。ルナ姫様のドレス、とっても素敵ですね。私今日ルナ姫様とこうして一緒に食事ができるのを楽しみにしていたんですよ」

ルナ姫「あら、ドレスが素敵ですって? それじゃあまるで私がドレスに劣っているみたいじゃないの。ルビー姫、あなた小さな国の姫のくせにもう少し口の利き方に気を付けたほうがいいんじゃないのかしら」

ルビー姫「ご、ごめんなさい。もちろんルナ姫様もとっても素敵です。でも小さな国とはいえ私の大切な大切な国なんです。だから国のことだけは悪く言わないでください」

ルナ姫「別にあなたの国を悪く言ったわけじゃないわよ。そう聞こえたのはルビー姫の耳がどうかしてるからじゃないのかしら? 私がよその国の悪口を言うだなんて、失礼しちゃうわ」

ルビー姫「そ、そうですよね。ごめんなさいね、私が勝手な勘違いをして。とにかく今は楽しくお食事をしましょう」

ルナ姫「ふん、言われなくたって食べるわよ。それにしてもルビー姫よっぽどお腹空いてるのね。そんなにがつがつ食べてみっともない。姫だったら姫らしくもう少し上品に食事はできないのかしら」

ルビー姫「私美味しいものを前にしちゃうとつい欲張って食べちゃうんですよね。父や母からも『お前はよく食べるなぁ』なんて言われてるんです」

ルナ姫「あっそ。どうでもいいわ、そんな話」

・・・

その後もルナ姫はみんなにわがままばかり。

こうして民からは嫌われ、使用人からもそっぽを向かれ、王様やお妃様もルナ姫には手を焼き、とうとうルナ姫様には味方がいなくなってしまいました。たった一人の味方を除いては――

・・・

星王子「ねぇねぇ、月子お母さま、ルナ姫様はみんなに嫌われちゃったの? ねぇ、どうなったの? ルナ姫様かわいそうだね、皆に嫌われちゃって」

月子妃「そうねぇ、可哀そうだわねぇ。でもそうなったのはルナ姫自身に責任があるのよ。人の気持ちも考えずわがままばかり言ってたからなのよ。だから星王子、あなたは誰にでも優しくしなければだめよ。人の気持ちを考えて、人の良いところを見つけるようにしなさいな。誰にだって良いところもあれば悪いところもあるわ。でも悪いところを責めるんじゃなく、良いところを好きになるようにするのよ。そうすればみんなが幸せになれるんだから」

星王子「うん、わかったよ! 僕、みんなの良いところをいっぱい見つけるよ!」

月子妃「ふふっ、そうね」

大地王「おやおや、また絵本を読んでもらっていたのかい?星王子、でもそろそろ寝る時間だぞ! さぁ、おやすみ」

星王子「大地お父様、おやすみなさい!」

・・・

大地王「また、あの絵本を読んでいたのだね。君の若い頃をモデルにした絵本を。君自身が描いた絵本を」

月子妃「えぇ、あの頃の私は本当にわがままだったわ。そのせいで皆に嫌われて。でもあの頃に出会ったあなただけは味方になってくれた。そんなあなたのおかげで私は変われたのよ。今こんなに幸せなのはあなたがいたからよ。だからあの頃の私を反省するためにも、そしてこの国をいずれ背負って立つ星王子が民を不幸にしないためにもね。みんなが幸せになるために、この絵本を描いたんだから」

大地王「そうだね、今の君は本当に美しいよ。外見はもちろん中身はそれ以上に」