高性能なロボット犬

アキト:
関西弁のツッコミ男

ロボット犬:
超ハードボイルド


アキト「これが今話題のロボット犬か。一人暮らしには最適やな。早速スイッチを入れてと」

ロボット犬を足元に置いて、スイッチを入れた。すると少しずつ歩き始めた。トコトコといった感じで可愛い。

アキト「確か話しかけたら、喋り返してくれるんやったな」

このロボット犬は最新のバージョンで、人の様々な言葉に反応するだけでなく、会話ができるようになっている。

アキト「じゃあまずは君の名前は」

ロボット犬『名前か……。ふっ、忘れちまった。』

アキト「渋っ! 君、渋いな。思ってたんと全然違うわ」

ロボット犬『アンタの好きなように呼んでくれ。俺はどんな名前でも喜んで受け入れよう。それがマスターに対する礼儀ってもんだ』

アキト「君、なかなかのハードボイルドだな」

ロボット犬『ふっ、テレるぜ』

アキト「渋いな。ホント渋いな。……でも名前か何がええかな。……そうだ! ロボット犬だし、坊ちゃんにしよう。坊ちゃん!」

ロボット犬『……』

アキト「坊ちゃん? 坊ちゃん?」

ロボット犬『……』

アキト「全然反応せえへんやん。壊れたかな?」

ロボット犬『……さん』

アキト「っえ?」

ロボット犬『…………さん』

アキト「……ぼっさん」

ロボット犬『どうしたマスター』

アキト「全然受け入れてへんやん!なんやねん君。どんな名前でもええ言うたやん!」

ロボット犬『ちゃんはちょっと』

アキト「だったらそう言えや」

ロボット犬『マスター、オレ、ロボット犬。喋レナイ言葉アル』

アキト「急にどうした! さっきまで流暢に喋ってたやん!」

ロボット犬『犬が流暢に喋れるとでも?』

アキト「君、ロボットやろ」

ロボット犬『ロボットで犬だ』

アキト「君みたいな犬、絶対おらんけどな」

ロボット犬『マスター、俺はただの犬じゃない。そう……robot犬』

アキト「なんで急に発音良くなった!」

ロボット犬『マスター、人は成長するものだぜ』

アキト「人じゃない。ロボット犬」

ロボット犬『機械も年々進化している。技術の進歩をみくびるな!』

アキト「俺、なにで怒られてんの?」

ロボット犬『これだからマスターは』

アキト「君、むかつくな」

ロボット犬『落ち着けよマスター。……バーボンでも飲むか?』

アキト「バーボン?!」

ロボット犬『マスター、俺にも一杯。今夜? あぁ、もちろんツケで』

アキト「マスターってそっちか!」

ロボット犬『ほら、見てみろよ? 星が輝いてるぜ?』

アキト「今、昼間や」

ロボット犬『なんだって?こんなにチカチカしてるのにか?』

アキト「君の目が光ってんねん」

ロボット犬『oh……』

アキト「気づいてなかったんか」

ロボット犬『俺、ロボットだぜ?』

アキト「見たら分かるわ!」

ロボット犬『だろうな』

アキト「君、腹立つわー。もうええ」

俺はロボット犬と話さないことを決めた。全然癒されない。

・・・

ロボット犬『マスター?』

アキト「……」

ロボット犬『マスター』

アキト「……」

めっちゃ話しかけてくる。だが無視。俺はいまムカついている。いくら話しかけられても反応しないからな。

ロボット犬『Master?』

アキト「発音の問題ちゃうわ!」

ロボット犬『じゃあ、マッさん?』

アキト「さん付けの問題でもない!」

ロボット犬『じゃあ……バーボン?』

アキト「一番違うわ!」

反応せえへんつもりやったのに、ついつっこんでしもうた。悲しい性という奴か。

ロボット犬『バーさん?』

アキト「俺はバーさんちゃう! どっちか言うたらジーさんや! ……ちゃうちゃう、そんな年でもないわ。まだ若い」

ロボット犬『ぼっさん?』

アキト「それは君や!」

ロボット犬『バーボン?』

アキト「それさっき言うた!」

ロボット犬『ふっ、よくぞ見破った。俺の負けだ』

アキト「何の勝負やねん!」

ロボット犬『マスター、うるさい』

アキト「うるさくさせとんのは君やろ」

ロボット犬『俺を購入したのはマスターだろ?』

アキト「そうやけど」

ロボット犬『自分で買っておいて怒るとは……ふっ、青いな』

アキト「犬って飼い主に忠実ちゃうんか?」

ロボット犬『俺は犬ではなく、ロボット犬だから問題ない』

アキト「高性能すぎひん?」

ロボット犬『最新のロボット犬だからな。これぐらい当然さ』

アキト「そうかぁ」

なんか疲れた。一人暮らしやから、こんなに喋ることないもんな。

ロボット犬『うっ……』

アキト「なんや?」

ロボット犬『ぬぐぐっ、体が動かない?』

アキト「どうした!しっかりせい!」

ロボット犬が音を立てて倒れこむ。俺は助け起こした。

アキト「ぼっさん? ぼっさーん! しっかりせい、俺たちの生活はこれからやろ!」

ロボット犬『マスター、アンタに会えて……良かった……ぜ』

アキト「ぼっさん?」

ぼっさんはピクリとも動かない。今日購入したばかりなのに。どうして?

アキト「ぼっさーん!!」

『ピー、電池が切れました。充電してください』

アキト「あっ」

そういえば充電式だった。

――数十分後。

ロボット犬『ビックリした』

アキト「それはこっちのセリフや」

ロボット犬『こんなにはやく充電がなくなるとは、さすが最新式』

アキト「なんで分からんかってん」

ロボット犬『高性能すぎて忘れてた』

アキト「どういうことや! ……まぁ、でもこれからよろしくなぼっさん」

ロボット犬『あぁ、バーボン』

アキト「バーボンちゃうわー!」

楽しくなりそうや。