【GL】ストレッチ

沙知:
女子生徒。美鈴と先生のことが好き。

美鈴:
女子生徒。沙知と先生のことが好き。

先生:
ガラスのハートの持ち主。


美鈴「沙知、私と組もうよ」

沙知「うん、いいよ」

私は美鈴と組んで、ストレッチを始めた。今は体育の時間だ。今日の授業内容はストレッチだ。ストレッチは一人二組で行う。

私は美鈴の背中を押して体を前に伸ばすのを手伝う。その際にさりげなく髪に触れる。さらさらしている。何とも美しい髪だ。

ふと思い立って、首に息を吹きかけてみた。

美鈴「くすぐったいよ。もう、沙知ったら」

沙知「ふふ、可愛い」

美鈴「え? そ、そうかな? へへ、嬉しいな」

美鈴は嬉しそうに笑った。本当に可愛い。食べちゃいたいくらいだ。透き通った肌に細い線。まるで天使だ。天使なんて見たことないから、こんな感じなのかは知らないけれど。

美鈴「次は私が押すね」

沙知「うん、お願い」

私は足を伸ばして床に座り、体を前に倒した。美鈴が背中を押し、体を伸ばすのを手伝ってくれる。

沙知「ひゃっ、くすぐったい!」

突然、首に生温かいものを感じた。

美鈴「私も息を吹きかけてみたよ、ふふっ」

美鈴は私に抱きつき、頬ずりをしてきた。すべすべして気持ちいい。頬を摘んでみる。やわらかくて弾力もある。これがピチピチの女の子の肌なのか。いや、まあ私もピチピチの女の子ではあるけれど。

先生「おい、そこイチャイチャしない! 今授業中だぞ! 分かってるのか!」

先生が私たちを指差して、怒鳴ってきた。

沙知「ちっ……今はストレッチの時間なので、イチャイチャしてもいいかなと思いまして」

先生「おい、舌打ちしたろ! 先生とっても傷ついた。ああ、傷ついた。先生な、こう見えてもガラスのハートなんだぞ。ちょっとしたことで簡単にひび割れる類のものなんだ。繊細な態度で接してもらわないとハートがボロボロになる」

沙知「そもそも先生が繊細な態度じゃないのに」

美鈴「沙知の言う通りだね。繊細さからは程遠いよ」

私は美鈴と意見が一致したことが嬉しくて、ニヤけてしまう。美鈴もニヤけていた。

先生「それを言われたら、もうぐうの音も出ねえけど、ニヤけなくてもいいだろ。ってかお前らどんだけ仲良いんだよ!」

沙知「仲良くしたらダメなんですか!」

美鈴「それが先生の言うセリフですか!」

私たちは先生に抗議した。仲良く手を繋ぎながら。

先生「うん、私が悪かった。ごめんなさい」

私たちに向かって先生は深々と頭を下げた。そこまで頭を下げなくても良いと思う。

沙知「なら、イチャイチャしながらストレッチをしてもよいですよね?」

先生「分かったよ。イチャイチャしながらしてもいい。ただやりすぎるなよな」

沙知「なるほど、先生も混ざりたいと」

先生「は? いや、そんなこと一言も言っていない」

美鈴「それならそうと言ってくださいよ! さ、先生どうぞこちらへ!」

私たちは先生の元に駆け寄った。

先生「おい、待て。私は別にストレッチをする必要はないんだぞ!」

暴れまわる先生をタックルで抑えつける。

先生「何だ、お前らの無駄な連係プレーは!」

沙知「先生も年なんですから、ストレッチで健康体になりましょうよ」

先生「年って私まだ二十代なんだけど?」

沙知「え? 二十代? 三十代かと思ってました」

美鈴「私も三十代だと思ってた」

またも美鈴と意見が一致し、微笑みかけた。美鈴も微笑んでいた。

先生「おい、私を挟んで微笑みあうなよ! なんか気まずいだろ! あと私ってそんなに老けて見えるのか?」

沙知「見えますね。美しいババアだと思ってました」

美鈴「私も美しいババアだなと思ってた」

先生「……喜んでいいのか怒っていいのかわかんねえよ」

先生は何とも言えない表情をしていた。美しいと言われたのは嬉しいけど、ババアと言われるのは嫌なのだろう。

沙知「ストレッチで心を穏やかにしちゃいましょうよ」

私たちが陣取っていた場所まで先生を連れだした。

沙知「楽しい楽しいストレッチの始まりですよ」

先生「……何か嫌な予感がする!」

私は先生にコブラツイストをかけた。

先生「これストレッチじゃねえだろ! 何コブラツイストかけてんだ!」

沙知「美鈴!」

美鈴「うん、任せて!」

私はコブラツイストを解いた。その瞬間、美鈴が先生に一本背負いをかけた。

先生「お前ら、いつ打ち合わせしたよ! 私が何をしたっていうんだ!」

先生は涙目で私たちを睨みつけた。

沙知「……先生!」

私は先生を抱きしめた。美鈴も先生をギュッと抱きしめていた。

先生「お、お前らいったいどうしたんだ?」

沙知「か、可愛い! 母性本能がくすぐられたよ」

美鈴「私も母性本能がくすぐられた! 先生ってば可愛すぎ!」

またまた美鈴と意見が一致する。まあ、これが母性本能かどうかは分からないけれど。だって母になっていないし。母性本能がどういうものかは分からない。

沙知「ねえ、先生は私たちのことどう思ってる? 先生は美しいし、可愛くて私は好きだけど」

美鈴「私も先生のこと大好きだよ」

私たちは先生の目をじっと見つめる。

先生「私の可愛い生徒だ。無論大好きだよ」

私たちは嬉しくて、先生の頬にキスをした。