ヒーローショー

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鈴子:
司会進行役。

チョウミリョウナイト:
調味料をモチーフにしたヒーロー。必殺技はペッパーボンバー。

ベジタネミー:
野菜をモチーフにした敵。必殺技はトマトビーム。


鈴子「は~い、皆さん、こんにちは! 私は鈴子姉さんだよ!」

私はヒーローショーの進行役のバイトをしている。今日のヒーローショーは『チョウミリョウナイト』だ。あまり人気がないのか、数人程度しかいない。調味料をモチーフにしたヒーローだから、人気がないのは分かる。どの世代に需要があるのか、さっぱり分からない。

しかも敵は野菜をモチーフにした『ベジタネミー』だ。『チョウミリョウナイト』では『ベジタネミー』には勝てないだろう。なにせ野菜に対し、調味料だからな。おいしくしちゃってる。

香ばしい匂いが漂っているのではないだろうか?

鈴子「それじゃ、皆さん、鈴子姉さんと一緒にチョウミリョウナイトを呼んじゃおう!」

人数が少ないからか、お~の声も小さい。ステージにまで全然響いてこない。来てくれてる方には申し訳ないけど、なんだか白けてきた。

鈴子「それじゃ、皆行くよ! チョウミリョウナイト!」

ベジタネミー「グッハッハ! 獲物がいるではないか」

ベジタネミーが笑いながら、ステージ上に現れた。これはシナリオ通りだ。

鈴子「た、大変だ! ベジタネミーめ、何をしに来たんだ!」

私は台本通りのセリフを白々しくも言ってのけた。

ベジタネミー「無論、人間を懲らしめに来たのよ。グッハッハ」

チョウミリョウナイト「そんなことをさせてたまるか! 私が皆を守ってみせる!」

チョウミリョウナイトがステージ上に姿を現し、ベジタネミーと対峙した。

チョウミリョウナイトの中の人は本当にこのままでいいのだろうかと愚痴をこぼしていた。ヒーローなのにもかかわらず、あまり人気がないことを嘆いている。客もいつも数人程度しかいない。ヒーローとしてちやほやされたい、人気者になりたいと言っていたが、題材が題材だけにこれから先も人気者にはならないだろう。ヒーローではあるけど、微妙なヒーローだし。それに中の人は終わった後はいつも満足そうな顔をしてるし、たいして悩んでいないのだろう。

ベジタネミー「お前に何ができるというのだ。出でよ、我が分身よ!」

ベジタネミーは小さな球をステージ上にばら撒いた。と同時にステージ上に煙が噴出される。煙に紛れてステージの奥から、怪人が出てきた。

ベジタネミー「我が分身から、人間どもを守れるかな? チョウミリョウナイトよ」

ベジタネミーの分身はレタスの怪人だった。怪人とは思えないほど、見た目が可愛らしい。私でも勝てそうだ。

チョウミリョウナイト「私も甘く見られたものだな。怪人に負ける私ではない。ペッパーボンバー!」

チョウミリョウナイトは胡椒を怪人に振りかけた。その瞬間、あらかじめ用意しておいた爆竹が鳴る。テレビでは大爆発が起こってるけど、さすがにヒーローショーで爆発させるわけにはいかないから、代わりに爆竹を使ってる。

だからだろうか、客はどこか不満気だ。こんなところで爆発なんか起こしたら、ここにいる全員に死ぬからね。一瞬であの世行きだよ。だからね、いくら迫力に欠けても我慢してほしい。

ベジタネミー「ほぉ、一瞬にして我が怪人を倒すとはな。ならばこれで行くまで。トマトビーム!」

ベジタネミーはチョウミリョウナイトに向けてトマトの汁を飛ばした。敵の技にしてはあまりにもしょぼい。地味すぎる。これならただの蹴りの方がまだインパクトがある。相手が少し怯むだけで、何のダメージも与えられない。

チョウミリョウナイト「甘いな。こんなこともあろうかとゴーグルを用意していたのだ」

仮にもヒーローがゴーグルってダサすぎないか? どんなヒーローだよ。そりゃ、人気が出ないはずだ。ヒーローも敵もダサいし、かっこよさがまるで感じられない。

ベジタネミー「甘いのはお前だ、チョウミリョウナイトよ! ただ汁を飛ばすだけだと思ったら大間違いだ!」

ベジタネミーはトマトをチョウミリョウナイト目がけて投げつけた。

チョウミリョウナイト「ぐわぁ~!」

チョウミリョウナイトは苦しみだしたが、トマトにたいして攻撃力ないだろ。なんだ、この不毛な戦いは。

鈴子「チョウミリョウナイトがピンチだわ! 皆応援してあげて!」

私はアホらしいと思いながらも、台本通りにセリフを言った。

鈴子「チョウミリョウナイト頑張れ!」

私の声に合わせて客も応援してくれているが、客が少なすぎて声がステージ上にまで届いていない。

チョウミリョウナイト「皆ありがとう! 皆の応援が私に力を与えてくれる! 食らえ、ペッパーボンバー!」

チョウミリョウナイトはまたもやペッパーボンバーを使った。目新しさに欠ける。それ以外に技はないのか。調味料をモチーフにしてるんだし、胡椒以外も使えるだろ。もしかして中の人は胡椒派なのか?

ベジタネミー「ぐわぁ、我がこんな奴に負けるなんて! ありえぬ、我はベジタネミー、世界の支配者なり!」

ベジタネミーの足元から爆竹が鳴る。それに合わせてベジタネミーはステージ上から立ち去った。ベジタネミー、弱すぎるだろ。一度見てるんだから、避けられるだろ。まあ、シナリオ通りだけど。

チョウミリョウナイト「それじゃ、さらばだ。また会おう!」

チョウミリョウナイトは親指を立てて、ステージ上から立ち去った。

鈴子「やっぱりチョウミリョウナイトはかっこいいね! それじゃ、皆、さよなら!」

私は客に手を振ってステージ上から立ち去った。

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