【GL】光あるところに……

ユメ:
世界の退屈さに飽き飽きしている

ヒカリ:
ユメのことが大好きな少女


ユメ「君は私にどうしろと言うんだい? こんなちっぽけな世界でのうのうと生きていけとそう言うのかい?」

ヒカリ「あなたがどうしようとあなたの勝手。あなたに生きていて欲しいと思うのは私の勝手。選択肢はあなたにある。どちらを選ぼうとも私に責める資格などありはしない」

ユメ「そうかい。君は自分勝手な願望で私に生きていて欲しいんだね。でも私は辛いんだ。どうしようもなく辛いんだ。退屈なんだよ。こんな世界は。生きている実感なんてないんだよ。退屈で退屈で退屈で死にそうだ。自ら死を選ばなくても、どっちにしろ私は死んでいるようなものなんだよ」

ヒカリ「あなたが思うほど悪くはないと思うけど。私は好きよこの世界が。ちっぽけかもしれないけれど、それでも私はこの世界が好き。だってあなたがいるんだもの」

ユメ「……私がいるからこの世界が好き? ……ははっ、これは参ったな。つまり私が死ねば、君はこの世界が嫌いになるんだね」

ヒカリ「そういうことになるのかしら。そうねあなたが死んだら、私も後を追うかもしれないわ」

ユメ「君は本当に厄介な人だね。他人を巻き込んでまで死にたいと思うほど私は傲慢じゃない。これじゃ死ねないじゃないか」

ヒカリ「ということは?」

ユメ「仕方ない。生きることにするよ。ほかならぬ君のためだ。感謝したまえ」

ヒカリ「ありがとう。嬉しい」

ユメ「そうかい。でも生きるとは決めたが、私にとってはやはりこの世界は面白くないんだ」

ヒカリ「大丈夫。私があなたを楽しませてみせるわ」

ユメ「君が? できるのかい、そんなこと?」

ヒカリ「愛するあなたのためなら、私はなんだってしてみせる」

ユメ「それは心強いことだね。まぁ、期待はしないけど。頑張ってみなよ」

ヒカリ「絶対にあなたを満足させる。生きたいって強く思うほどにね」

――数日後

ユメ「ここは?」

ヒカリ「私が作り上げたテーマパーク」

ユメ「君が作ったの? どうやって?」

ヒカリ「一人でせっせとあなたのことを思い描きながら。愛はどんな困難も可能にするの」

ユメ「個人でよく作ったね。ちょっとした公園くらいの規模があるよ」

ヒカリ「さぁ、こっちに来て最初のアトラクションはこれ!」

ユメ「『ラブサブサークル』?」

ヒカリ「そう。二人で手を繋ぎ、優雅に風景を眺めるの」

ユメ「ただのコーヒーカップだよね。というかどうやって作ったのホント?」

ヒカリ「企業秘密」

ユメ「教えてほしいなぁ」

ヒカリ「仕方ない。友人に工場を持っている人がいて、そこで作ってもらったの」

ユメ「君、作ってないじゃないか」

ヒカリ「私は友人が作り上げたものを、ベストな配置に置いたの。コーディネートしたのは私だから、作ったと言っても間違いはないと思う」

ユメ「要は二人で作ったということだね」

ヒカリ「いや私一人で」

ユメ「友人に手伝ってもらったんでしょ?」

ヒカリ「……はい、二人で作りました」

ユメ「まぁ、二人で作ったとしてもすごいけどね」

ヒカリ「でしょ! では早速乗りましょう」

――乗車中

ユメ「速い速いよ! ちょっと止めて目が目がぁ!」

ヒカリ「私は風になる!」

――数分後

ヒカリ「楽しかった!」

ユメ「うぅ、気持ち悪い」

ヒカリ「苦手なの?」

ユメ「苦手だということを初めて知った。あぁ、辛い、気持ち悪い」

ヒカリ「まだまだ序の口。楽しいアトラクションはまだある」

ユメ「楽しいなんて一言も言ってないけどね」

ヒカリ「私は必ず楽しませてみせる!」

ユメ「大丈夫かなぁ」

ヒカリ「お次は『愛は時空を超える』」

ユメ「シンプルにジェットコースターだよね」

ヒカリ「二人で手を繋いで一つに」

ユメ「コンセプトさっきと一緒だなぁ」

――乗車中

ユメ「ああああぁー!」

ヒカリ「きゃああああー!」

――数分後

ユメ「……」

ヒカリ「……」

ユメ「少し休憩しようか」

ヒカリ「はい」

ヒカリ「今のは失敗」

ユメ「自覚はあるんだね」

ヒカリ「個人のテーマパークにジェットコースターを置いたのは間違い」

ユメ「コースがぐらついたときにはヒヤリとしたよ」

ヒカリ「死にたくないとは思ったのね」

ユメ「こんなことで死にたくはないよ。さすがにね」

ヒカリ「次は大丈夫」

ヒカリ「次は『愛の軌跡』」

ユメ「ゴーカートか。今までのものに比べたら、楽しそうだね」

ヒカリ「レッツゴー」

――乗車中

ユメ「一つ聞いていいかい?」

ヒカリ「もちろん」

ユメ「一緒に乗って楽しい?」

ヒカリ「すごく!」

ユメ「こういうのってレースして楽しむもんじゃないのかい?」

ヒカリ「愛する人が運転する車の助手席に乗りたかった」

ユメ「私を楽しませる気あるの?」

ヒカリ「あなたと私、両方楽しければお得」

ユメ「今のところ、君だけが楽しんでるような気がするけど」

ヒカリ「次こそは」

ヒカリ「ラストは必ず満足するはず!」

ユメ「本当かい?」

ヒカリ「お次はこれだ! 『愛のショータイム!』」

ユメ「何この衣装?」

ヒカリ「着替えて着替えて!」

ユメ「これ、もうアトラクションじゃないね。コスプレだよね」

――ショータイム中

ユメ「まさかサルの着ぐるみを被ることになるとは思いもしなかった」

ヒカリ「それはアイアイという生き物の衣装。愛が二つも入っている。縁起の良い生物」

ユメ「そんな理由で着せないでくれよ」

ヒカリ「はぁ、かわいい。抱きしめたい。持ち帰りたい。大好き」

ユメ「お、おぅ。今のは引いた」

ヒカリ「ガーン」

――数分後

ヒカリ「うーん、楽しかった。私は満足。もう一度巡りたい」

ユメ「巡るならちゃんとした遊園地に行きたいところだね」

ヒカリ「楽しかったでしょ?」

ユメ「そうだね。……アトラクションはそうでもなかったね」

ヒカリ「ガーン」

ユメ「でも一つ分かったことがある。私の世界がつまらなかったのは君がいなかったからだ。君といるのは楽しいよ。見ていて飽きないからね」

ヒカリ「……嬉しい」

ユメ「これからもよろしく頼むよヒカリちゃん」

ヒカリ「もちろん!」

夢のなかった少女は光と出会い、希望を取り戻した。光は夢を照らし、夢は光の原動力となる。この先もずっと永遠に。