【ブラコン】芽衣子のズル休み

Illustration by うみの


良仁:
芽衣子の兄。

芽衣子:
良仁の妹。ブラコン。

美沙:
良仁の彼女。


良仁「おい、芽衣子、オマエいつまで寝てんだよ! そろそろ学校行かないと遅刻するぞ」

芽衣子「……」

良仁「おい、起きろって! おい、本当に遅刻するぞ。ちょっと聞いてんのか!」

芽衣子「……」

良仁「まったく、これだけ言っても起きないのかよ。おい、布団めくるぞ」

―ガバッ

良仁「ってあれ? 芽衣子がいない? 何だこれ? 毛布が丸めてあるだけじゃないか!」

芽衣子「クスクスクスッ、お・に・い・ちゃ・ん、だ~れだっ!」

良仁「あっ、おいこら、後ろから抱きつくなよ、おい、離れろってば」

芽衣子「も~う、お兄ちゃんたら照れちゃって。芽衣子はもう起きてたんですぅ。えらいでしょ、今日はお兄ちゃんに起こしてもらわなくても一人で起きれたんだよ。褒めてよお兄ちゃん」

良仁「お前なぁ、起きてたんならとっとと準備しろよな。まだパジャマのままじゃないかよ。遅刻しても知らないぞ」

芽衣子「ちょっとお兄ちゃん、そんなことより芽衣子を褒めてよ!」

良仁「なんでだよ、中学生にもなって自分で起きるなんて当たり前のことだろ。まったく、何で毎日俺が起こさなきゃいけないんだよ。これからは自分で起きろよな!」

芽衣子「う、うわ~ん、お兄ちゃんのイジワル~。芽衣子はお兄ちゃんの声を聞かないと眠りから覚めることができないんだよぅ。今日はたまたまだよぅ。うぅ……」

良仁「泣くなよ、分かったから。ってこんなことやってる場合じゃないぞ、芽衣子に付きあってたら俺まで遅刻しちまう。さて、そろそろお兄ちゃんは行くぞ。芽衣子も早く準備しろよ」

芽衣子「うぅ、今日は学校休むぅ。だって芽衣子、眠いんだもん……」

良仁「ダメダメ、ちゃんと学校は行かないと。ズル休みなんてお兄ちゃんが許しません!ほら、冷たい水で顔でも洗って目を覚ませって、うん?芽衣子、目が真っ赤じゃないか! なんでそんな目をしてるんだよ?」

芽衣子「ううぅ、実は芽衣子は昨日から寝てないのです。朝、お兄ちゃんを驚かそうと思って昨日からずっと起きてたのです、エッヘン」

良仁「はぁ? 何でそんなことしたんだよ」

芽衣子「だって一度寝ちゃうとお兄ちゃんより早く起きることなんてできないんだもん! だからね、だから寝なかったんだよ。途中で意識朦朧とした瞬間もあったけどね、でも太ももをつねりながら、頑張って起きてたんだよ。それでも一瞬意識が飛んじゃったけどね。あと少し朝が来るのが遅かったら、まぶたが閉じないよう接着剤を使うところでしたよ芽衣子は。本当に危ないところでしたよ。あと5分お兄ちゃんが起こしに来るのが遅れていたら、今頃芽衣子のまぶたは自力で閉じることができない状態になるところでしたよ、ほっほっほ」

良仁「何が『でしたよ』だよ。まったくバカなことを。そんなしょうもないこと考える暇があったらもっと早く寝て、朝起きられるようにすればいいだろ」

芽衣子「ちっちっちっ、分かってないですねぇ、お兄ちゃんは。芽衣子はお兄ちゃんの驚く顔を見るためだったらなんだってする勢いですよ」

良仁「お前、なんか途中からキャラ変わってないか? まぁ、いいか。って芽衣子のせいでこんな時間じゃないか! ダメだ、今日は俺まで遅刻だよ……」

芽衣子『クックックッ、思い通り』

良仁「え? 何か今、思い通りとか言わなかったか?」

芽衣子「え? 何のこと? 芽衣子は何にも言ってないよお兄ちゃん。それより遅刻だったらもうお兄ちゃんも学校休もうよ。ね、芽衣子も休むんだ……か……ら……Zzz」

良仁「おい、いつの間に芽衣子は休むことが決定したんだ。とはいえ芽衣子も眠そうだし、無理して学校へ行かせてもなぁ。仕方ない、今日は休むことにするか」

芽衣子「Zzz……Zzz……。はっ、き、貴様があのナスビをトロピカル責めにしたやつだな! よ、よくもトロピカルなんて非道な仕打ちをぉぉおお!」

良仁「ちょ、ま、芽衣子、おい、しっかりしろ!おいっ」

芽衣子「はっ、あ、お兄ちゃん、芽衣子ったらいったい何を?」

良仁「とってもファンシーな夢を見ていたらしい」

芽衣子「そ、そういえばお兄ちゃんの顔したナスビがとんでもない目に遭っていた気が」

良仁「いったい、どんな夢を見ていたんだか。それより芽衣子の学校には休むって連絡しておいてやるから、今すぐ寝なさい」

芽衣子「え? いいの? やったー! お兄ちゃん大好き!! じゃ、今日は何して遊ぶ? ナス、お兄ちゃん?」

良仁「今、ナスビって言いかけたよな……しかし遊ぶのは無しだ。昨日から寝ていないんだろ? だったら今すぐ寝ないと体壊すぞ」

芽衣子「えぇ~、せっかくお兄ちゃんと芽衣子のスーパーイチャイチャタイムなのにぃ」

良仁「誰がイチャイチャだよ、まったく。言っとくけどな、お兄ちゃんには美沙っていう可愛い彼女がいるんだからな。いい加減にブラコンからは卒業しろよな」

芽衣子「フッフッフ、美沙さんがお兄ちゃんの彼女だったのは昨日までのことなんですぞ。まったく、男ってのはノー天気な生き物ですなぁ。釣った魚に餌なんてやらなくても永遠に彼女を自分のものだと思ってらっしゃるんですから」

良仁「……おい、美沙に何したんだ? 芽衣子、何か余計なことをしたんじゃないだろうなぁ! 怒るぞ!」

芽衣子「ふっ、美沙さんにはお兄ちゃんが10歳までおねしょしてたことをばらしてやりましたよ。芽衣子は悪い子ですねぇ。いやぁ、もはや今世紀最大の悪と言ってもいいかもしれませんねぇ。これでもうお兄ちゃんは美沙さんからフラれちゃいますねぇ」

良仁「……芽衣子よ、お前は可愛い奴だなぁ。いや、もういい。お兄ちゃんは怒ってないから。よし、じゃあ、今日は学校が終わったら美沙も呼んで一緒にご飯でも食べに行くか!」

芽衣子「えぇ、美沙さんはもうお兄ちゃんの彼女じゃないはずだよ。だっておねしょだよおねしょ」

良仁「本当に可愛い奴だよお前は。とにかくお兄ちゃんの大切な彼女なんだから美沙とは仲良くしなさい、分かったね?」

芽衣子「は、は~い……」

・・・

美沙「こんにちは芽衣子ちゃん、昨日は良仁が10歳までおねしょとかどうとか教えてくれてありがとうね。それにしても10歳までおねしょしてたなんて可愛いじゃない」

良仁「まったく芽衣子ったら余計なことを……」

芽衣子「美沙さんお兄ちゃんのこと嫌いになったでしょ?」

美沙「まさか、そんな可愛いエピソード聞いちゃったら余計好きになっちゃったわよ」

芽衣子「……だったらお兄ちゃん、中学の時宿題忘れて先生に怒られたんだよ。それにオセロは芽衣子より弱いんだよ。それからそれからえっと……」

美沙「そうなの? それより芽衣子ちゃん、プリン買ってきたんだけど食べる?」

芽衣子「うわ~い、美沙さん大好き~」

良仁「良かったな、プリン大好物だもんな。美沙に感謝しろよ。美沙と俺が別れたらプリン食べられないんだぞ」

芽衣子「え? それは困るぅ。美沙さん、あの、これからもお兄ちゃんをよろしくお願いします……」

美沙「えぇ、こちらこそ。芽衣子ちゃんもよろしくね。これからも仲良くしようね」

芽衣子「はいっ!」