【ブラコン】兄のデートを尾行しますわ

華:
樹の妹。ブラコン。

樹:
華の兄。桜が大好き。

桜:
樹の彼女。いい人。


華「あらお兄様、どこに行くんですの?」

樹「うん? あぁ、言ってなかったっけ? 俺彼女出来たんだよ。初デートでさ、楽しみで昨日寝れなかったんだよね」

華「彼女? 彼女って言いました?」

樹「うん、彼女って言ったよ」

華「そうですか。お兄様、それは良かったですわね。楽しんできてくださいな」

樹「あぁ、行ってくる!」

・・・

華「許しませんわ。私のお兄様なのに。彼女の位置に収まるなんて。ふふっ、お兄様に相応しいのは私だけですのよ。楽しいデートになんかさせませんわ。絶対に、ふふっ」

樹「――待った?」

桜「ううん、私も今来たばかりだから大丈夫」

樹「それは良かった。待たせたら悪いって思ったから」

桜「大丈夫だよ。もし遅れたって、あなたに会えるだけで十分なんだから。気にしなくていいのよ」

樹「桜、ありがとう。俺も桜の顔を見るだけで幸せだ」

桜「照れるわね。じゃあ、行こっか」

樹「あぁ。っとその前に手繋ごう」

桜「う、うん。な、なんか恥ずかしいね」

樹「そ、そうだね」

桜「樹くん。照れすぎだよ。手、汗ばんでる」

樹「ご、ごめん。すぐに拭くから」

桜「別に拭かなくてもいいよ。私も汗ばんでるし。一緒だよ。ある意味ペアルックだね」

樹「そう言ってもらえると助かる」

桜「初デートなんだから慣れないのは当然だよ。徐々に一歩ずつ慣れていけばいいの」

樹「そうだね。一緒に成長しよう」

・・・

華「なんですのあれ? 甘酸っぱすぎて、こっちが恥ずかしくなってきますわ。さっさと邪魔して、帰りましょう。この空気に耐えられる気はしないですし。さてどうやって邪魔しましょうか?」

・・・

樹「どこに行こうか?」

桜「樹くんと一緒なら、どこでも楽しいよ」

樹「そう?」

桜「うん、だから気になるものが見つかるまでは、手を繋いで歩きましょ?」

樹「自意識過剰かもしれないけど」

桜「うん?」

樹「俺ともっと手を繋ぎたいから、言ってる?」

桜「バレた?」

樹「くすっ。桜は可愛いなぁ」

桜「樹くんはかっこいいよ」

・・・

華「あざとい、あざといですわ。舌を出すなんて。あれ絶対自分が可愛いと思ってやっていますわ。お兄様、騙されてはいけませんよ。あの女、かなりの男たらしです。今までに何度も男を誑かせてきたに決まってますわ。お兄様、待っていてください。必ずやその女の魔の手から救って差し上げます」

・・・

樹「お腹空いたね。どこかの店に入ろうか」

桜「そうだね。樹くんは何が食べたい?」

樹「桜」

桜「……もう、そういうことじゃなくて」

樹「ごめんごめん。いつかね」

桜「うん、いつかね」

樹「じゃあ、そこのカフェにでも行く?」

桜「いいね。カフェ」

店員「いらっしゃいませ」

樹「えっと紅茶二つとサンドウィッチ二つください」

店員「かしこまりました」

樹「いい雰囲気の店だね」

桜「確かにシャレてるね」

樹「初デートには相応しいかも」

桜「デートスポットには最適かも」

樹「くすっ」

桜「ふふっ」

・・・

店員「いらっしゃいませ」

華「コーヒーとスパゲッティ、それにサンドウィッチを一つ。あとはラーメンもお願いしますわ」

店員「かしこまりました」

華「いい感じに暗い店内ですわね。尾行には最適ですわ。お兄様も気づいてないようですし、ゆっくりいただきましょうか」

店員「お待たせしました」

華「いただきます。……うーんデリシャス! ほっぺが落ちそうですわ。あぁ、口の中が幸せ」

・・・

桜「樹くん、ほっぺにマヨネーズついてるよ」

樹「えっ? どこに?」

桜「そっちじゃないよ。仕方ないなぁ。ペロッ」

樹「なっ、えっ?」

桜「はい、キレイになりました」

樹「ビックリした」

桜「ちょっとしたサプライズだよ」

樹「心の準備が出来ていなかったから驚いた」

桜「サプライズ大成功」

樹「桜ってお茶目だね」

桜「気に触った?」

樹「いや、むしろより好きになったよ」

桜「そう」

樹「照れてる?」

桜「どうかな?」

樹「くすっ」

桜「ふふっ」

・・・

華「ふー、お腹いっぱいですわ。なんだか眠たくなってきました。少しだけ休みましょう」

・・・

桜「私の分までごめんね」

樹「何言ってるの。彼氏だから当然でしょ」

桜「ふふっ、そうだね」

樹「いつだって俺が奢ってあげるよ」

桜「うーん。でも私も彼女なんだから、たまには奢らせてね」

樹「分かった。たまにね」

桜「約束」

樹「うん、約束ね」

・・・

華「あれ? お兄様はいずこへ? 寝てる間にどこかに行ってしまいました。どうしましょう? お兄様、お兄様ー!」

・・・

樹「暗くなってきたね。送るよ」

桜「ありがとう。またデートしようね」

樹「空いている日、教えてね」

桜「分かった」

樹「次はちゃんとデートプラン考えるから楽しみにしててね」

桜「今日のデートも十分楽しかったけどね」

樹「俺も楽しかった」

桜「でも次のデートはね」

樹「うん? どこに行くの?」

桜「彼女も一緒に連れて行きましょう」

華「――きゃっ、何するんですの?」

樹「華、どうしてこんなところに?」

華「あ、あらお兄様……奇遇ですわね」

桜「やだなぁ、奇遇も何もずっと着いてきてたじゃない。まぁ、途中で見失ってたみたいだけど」

華「き、気づいてたんですの?」

桜「当然!」

華「気づいてて何も言わなかったんですの?」

桜「尾行されるというスリル、正直堪らなかった」

華「この人、なんかおかしい」

樹「何で着いてきてたの?」

華「お兄様が心配でしたの」

樹「心配って?」

華「お兄様に相応しい相手かどうか気になっていましたの?」

桜「着いてきただけじゃ分からないでしょ? ちゃんとお話して、見極めて」

華「怒っていないんですの?」

桜「怒ってないわよ。だって樹くんの家族なんでしょ? あなたに認められなきゃ、胸を張って樹くんの恋人なんて言えないわ。それに将来、私の妹になるかもしれないし、仲良くしたいなって」

樹「桜、妹って!?」

桜「私と結婚する気ないの?」

樹「もちろんある!」

桜「嬉しい! ……ね、だから仲良くしましょ」

華「……なんだか勝てる気がしませんわ。でもいいでしょう。その挑戦受けて差し上げますわ」

以後、華は二人のラブラブっぷりに振り回されることになるのであった。