【シスコン】お兄ちゃんは今日も元気です

翔太:
菜々美の兄

菜々美:
中学生、翔太の妹


菜々美「はいもしもし、あっ、ゆう君! うん、そうだね、この前は楽しかったよねぇ。また一緒に行こうね」

翔太「ゴホンッ!!」

菜々美「えっ? ううん、何でもないよ。それよりね、ゆう君、今日さぁ、あのね……」

翔太「ゴホンッ!! オッホン!!」

菜々美「……それでね、二組の子がね、先生に怒られたんだってさ。それにね、三組の友達もね……」

翔太「ウオッホン! ゴホゴホッ! ウエッホン!!」

菜々美「……チッ……いや、何でもないよ。それよりゆう君は今日何か面白い事あった? うん、へぇ、あっはっは、そんなことがあったんだぁ。そっかぁ……」

翔太「ゴルォッホン! オッホン、ゴホゴホッ、どりゃあ、ゴルゴンゾーラァッッッ!!!」

菜々美「んもうっ、お兄ちゃんったらうるさぁぁーいっっ!! 向こう行ってよね。私はゆう君と電話中なんだからさぁ、聞こえないじゃないの!」

翔太「……」

菜々美「えっ? ゆう君、いや何でもないよ。ゴルゴンゾーラ? いやいや、そんなこと言ってない言ってない……もう、お兄ちゃんうざいから早くどっか消えて!」

翔太「おい、菜々美、お兄ちゃんに向かってウザいとはなんだ? おい、菜々美聞いてるのか? あまり長電話してるとご近所迷惑だろ。早く電話を切りなさい」

菜々美「……ちょっと、ゆう君ごめん、後でまたかけなおすね。うん、ちょっとうちのバカがうるさいから黙らせてくる。え? うん、大丈夫大丈夫、生かさず殺さずが私の信念だから。じゃーね、後でね」

菜々美「お兄ちゃん、さぁて、覚悟はできてるんでしょうね。せっかのくゆう君からの電話を邪魔した罪は重いわよ。ポキポキッ……」

翔太「い、いや、菜々美、ちょ、待てって、ちょ、いやいやいや、曲がらないからっ、ヒザはそんな風に曲がらないからぁぁああ!!」

菜々美「え? お兄ちゃん何か言った? ヒザが何だって? バカねぇお兄ちゃんは。ヒザは曲がるためにあるのよ曲がるために」

翔太「いやいやいや、違うから。そっちには曲がらないからっ。菜々美、おい、ちょ、その手に持ってるものは何だ? おい、おいってば、おい……がぁぁあっ!」

菜々美「ふふっ、私とゆう君の大切な時間を邪魔した罪は重いわよ。ちなみにこれは私が改造を施したピコピコハンマーよ」

翔太「ピコピコ? 可愛くないっ、それはそんな可愛いものじゃない!! 改造って何だ改造って。どこの世界にそんなおぞましいピコピコハンマーがあるってんだ!」

菜々美「あら? これはれっきとしたピコピコハンマーよ。ただちょっと重さが2トンほどあって、周りにはブラックホールが発生しちゃってるけどね、ウフッ」

翔太「こえぇ~! 怖いよそれ、ブラックホールって何だよ。なんでそんなものが渦巻いちゃってるんだよ。お兄ちゃんをどうする気だよ」

菜々美「あら、消すのよ。何たってそのためのブラックホールなんだから。これに飲み込まれれば跡形もなく消えちゃうのよ。クックッ、これこそ完全犯罪よ。何てったってここで殺人事件があったことすら分からないんだから。さすが私、こんなものを作っちゃうなんてすごすぎだわ」

翔太「殺人事件って何だよ、もう、殺る気満々じゃないか! おい、菜々美、俺はお前の大切なお兄ちゃんなんだぞ。少しは敬ってくれたっていいじゃないかよ」

菜々美「どこに大切なお兄ちゃんがいるのよ? 普通のお兄ちゃんは妹の電話を邪魔なんてしませんよーだ。だいたい、お兄ちゃんが悪いんだからね。いつもいつも私とゆう君の邪魔ばかりして! ゆう君はすっごく優しいんだからね。どこかのお兄ちゃんとは大違いだわ」

翔太「くっ、まだ早いって言ってんだよ。菜々美はまだ中学生だぞ。俺が中学生の時は彼女なんて作らず勉強に頑張ってたぞ。菜々美が男と付き合うなんて10年早いんだよ」

菜々美「まだ中学生じゃなくてもう中学生よ。私の友達だってみんな彼がいるんだからね。それにお兄ちゃんに彼女がいないのはただたんにモテないからでしょーが!」

翔太「う、うるさいっ! とにかく菜々美にはまだ早い。彼氏なんていなくたってお兄ちゃんがいるじゃないか。お兄ちゃんが遊園地や映画に連れてってやるし、服だって買ってやるよ」

菜々美「いらないわよっ! このシスコン野郎! ほんっとウザいったら! お兄ちゃん、これだけは言っときますけど、私はお兄ちゃんのことなんて眼中にありませんっ!」

翔太「……そ、そうか……そこまでお兄ちゃんのことが嫌いなのか……そうか、それなら仕方がないな……ふぅ」

菜々美「いや、ちょ、お兄ちゃん、違うわよ、本気で落ち込まないでよ。ゆう君との邪魔さえしなかったらお兄ちゃんも普段は優しいし、良いところもあるって! ね?」

翔太「……いや、もういいんだ……お兄ちゃんが悪かった。これまでごめんな、邪魔して。菜々美が悪い男に騙されていないか心配だったんだ。もしかしたら彼女もいない俺は彼氏と楽しそうにしてる妹に焼きもちを焼いてたのかもしれないな……」

菜々美「ちょっと、お兄ちゃん、ごめん、私言い過ぎたかも。最近ゆう君のことばっかりでお兄ちゃんと遊びに行くこともなかったもんね、ごめん、お兄ちゃん」

翔太「いや、いいよ。菜々美、お兄ちゃん今までのこと反省したよ。どうやらお兄ちゃんは間違っていたようだ。旅に出ることにするよ。そして、そして……」

菜々美「?」

翔太「この世から俺以外のすべての男を消してやるぅううう!! さぁ、今こそそのピコピコハンマーを我が手に!!」

菜々美「そうじゃなぁぁああああ~いっっっ!!!」